大都会の映像詩人・新海誠監督の「君の名は」を見た。

 新海誠監督のアニメ「君の名は」を見てきた。
現在、とても人気になっているようだ。
新海誠監督のアニメは、「秒速5センチメートル」を見て、とても強い印象を受けたことがある。
そのときの感想がこちら。
 
 できるだけ、ネタバレなしで書く。
ネタバレすると、見た時のせっかくの驚きがなくなってしまう。 それは、厳禁だ。

 最初、主人公の二人の高校生の顔を見た時、がっかりした。
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なんて、安っぽい顔なんだと。 その辺りのアニメに掃いて捨てるほどある顔だ。
「秒速5センチメートル」の時は、こんなことはなかったはずだと調べてみたら、その顔に驚いた。
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なんて、シンプルなんだ。
顔はいらなかったんだな。
素晴らしい背景が主役だから。

 アニメは少しコメディタッチで進められる。
省略の効いた演出が、テンポよく話を進めてくれる。
バイト先の美人な先輩「奥寺ミキ」の顔もどっかで見た顔だなあ。 どうも好かん。

 そして、衝撃の出来事。
さらなる、どんでん返し。
そして、せつない結末。
その時の、街の表情が素晴らしかった。
なんのことはない道、坂。
Y字路。 横尾忠則の絵を思い出したよ。
せつなさの中で、街がとても美しく見える。
これぞ、新海誠。
都会をこれほど美しく描ける人はいない。
大都会の映像詩人と呼びたくなる。

 結末は、最後の最後、ハッピーエンドになった。
これは、意外だった。
らしくない。
「秒速5センチメートル」の時は、せつなすぎて、観客はそのままほっておかれたのに。
新海誠監督は、胸の中のせつなさをもう吐き出し終えたのだろうか?
彼の一番大切な資質なのに。

 新海誠監督のアニメには、宮崎駿監督や高畑勲監督のようなメッセージ性はない。
あるのは、とてつもない映像美とどうにもならないせつなさと宇宙好きである。
これらは、嗜好であって、メッセージではない。
そこがもの足りない所でもあるが、彼の資質は歌うことなのだろう。

 「君の名は」は、多分に娯楽性が強くて、新海色が少し薄まっていた。
だからだろうか、観客動員がとても好調のようだ。
これは、嬉しいこと。
今回は、多くの人や企業がかかわっていたので、さすがに娯楽性を重視したのだろう。
しかし、これで認知されて、お金も出るだろうから、今度はまた思い切って自分の思い通りのアニメを作ってほしいね。

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