「ブリューゲルの動く絵」   レフ・マイェフスキ 監督

「ブリューゲルの動く絵」を見た。第七藝術劇場は、初めて行く。十三駅の西口の改札口を出ると、すぐ商店街だ。こんな道路もないような駅は、他にないのじゃないかなあ。ちょっと歩くと、176号線に出て、交差点の向こうに栄商店街が見える。そこの大きなボウリングピンが目印のビルの6階に映画館はある。中は普通の小さな映画館である。古ぼけた映画館を想像していたが、座席もスクリーンも普通にいい。外の狭い待合スペースが、レトロな雰囲気に包まれている。しかし、壁に貼ってある上演予定の映画のポスターにひっくりかえる。芸術系のマイナー映画は当然としても、「ゾンビ大陸」って、なんだあ。マイナーさがはんぱでない。なんだか、他の映画館では絶対上映しそうにない映画ばかり集めているような気がする。こんな映画館が存在するんだなあ。こんな映画館は、東京に少しあるくらいだろう。映画より映画館の方が印象に残った。
 さて、肝心の映画である。ブリューゲルの絵画、「十字架を担うキリスト」を映像に再現するというような、映画として成り立つかどうかという実験的な映画を、予想していた。しかし、期待外れだったなあ。「十字架を担うキリスト」に描かれている場面に、ブリューゲルの時代のフランドルがスペインの圧政に苦しんでいた時代背景を重ね合わせて、わかりにくいストーリーを作っていた。スペインの圧政とキリストの磔刑を重ね合わせて、フランドルの歴史的悲劇を描こうとしたブリューゲルの意図を確かに表現してはいるのだろう。しかし、それでは普通の映画だ。もっと、視覚的な、絵画的な、ストーリーのない映像表現を期待していたのだが、そうではなかった。それにしても暗い映画だ。昔見た「レンブラントの夜警」も凄く暗かったが、なんで、こんな暗くなるのだろう。ヨーロッパ人の心の奥底には、すごく暗いものがあるのだろうか?

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