「プリンセス・トヨトミ」  万城目 学

 万城目 学の「プリンセス・トヨトミ」を読んだ。「鹿男あおによし」が気に入っていたので、期待していたのだが。一気に引き込まれて、4時くらいまでかかって、読みとおした。特に、空堀商店街の描写が好きで、地図を見ながら読んだりした。一度行ってみようかと思ったくらいだ。しかし、あまりにも話を作り込みすぎた。作り話という感じが強すぎる。まず、変わった人間を登場させすぎだ。一人くらいで十分だ。ハーフのゲーンズブール、そして、おかまの真田大輔。この大輔は、設定が痛すぎる。この設定にする必要があったのか、大いに疑問だ。また、話としては、旭が自分が仕掛けたことを告白し出した時は、なんだかすーっと熱が冷めた。やはり、策を弄し過ぎている。単なるエンターテインメント作家の作品だったら、ああ面白かったで済むのだが、この作家には、それ以上の物を期待している。「鹿男」では、どこかのどかで、飄逸な雰囲気が表現されていて、面白い話プラスアルファがあった。それが、「トヨトミ」には、欠けている。しかし、それでもこの作家には期待している。関西3部作で、こういうファンタジーを止めて、異なる作品を書くとどこかで言っていたので、もっと深味のある作品を楽しみにしている。

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