「白樺派の愛した美術」展   京都文化博物館

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      セザンヌ   「曲った木」

 白樺派の愛した美術展を見に京都文化博物館に行った(09/06/13)。この展覧会は、企画として面白いのではないかと思ったのだが、やはり面白かった。国内の作品ばかりで金をかけず、しかし白樺派という切り口を生かして、面白い良い作品を集めている、とてもコストパフォーマンスにいい展覧会なのではないかと思う。
 
[第1章]が、白樺派の愛した西洋美術のコーナー、まずクリンガーのエッチング、なかなか良かった。構図に優れた感覚が窺える。ビアズリーよりいいと思う。ムンクが2点、叫び」のような強烈な心象風景ではないが、なかなかいい。これは、昨年の兵庫県立美術館のムンク展でも感じたのだが、ムンクは、うまいのだ。確かな技術がある。そして、大好きなセザンヌが3点。セザンヌとしては、それほどでもないが、「曲った木」がいい。美しい緑の構成が楽しめる。ロートレックとルソーが1点ずつ。まあまあ。
 
[2章]が、白樺派にかかわった日本の画家たちのコーナー、このコーナーが新鮮で、驚きがあった。まず有島生馬の絵、それはいいとして、白人の子供の絵があった。少し、エキゾチックで神秘的でなかなか面白い。誰だろうと見ると、南薫造。誰だ?。隣が「春」、美しい婦人の横顔、それはいいとして、バックが、淡い青で、花を散らしている。面白い趣向である。少しボッティテェリを連想させた。そして、白い建物の絵、これもいい。そして、「英国農夫の顔」があった。この絵は、教科書的な本で見たことがあるような気がする。重厚な油絵らしい絵である。そして、「裏長屋の裏」、水彩の小品、それでも雰囲気が出ていて、いい。以上5点とも、それぞれに好ましくて、この画家は気に入った。岸田劉生、壺の絵、画面いっぱいに、白い壺が描かれている。ぬっぺりとした肌を持つがゆえに、濃密な雰囲気を醸し出している。劉生の絵は、対象以外の何かを醸し出す。そして、「初夏の小路」、この絵がとても気に入った。まばゆい太陽に照らされて、白く見える小路、そしてその両側の木立、白くなりながらも太陽に負けじと、草いきれを放っている。山の麓で、夏に出くわす風景だ。既視感にとらわれながら、その美しい情景を楽しんだ。橋本邦助、まあまあいい。浜田葆光も、いい。全く名前も知らなかったが。そして、藤島武二の絵があった。「巴里寓居の記念」、見た瞬間、あっ、これは違うなと思った。この中では、一段上のレベルの絵だと思った。藤島武二の絵は、生で2点ほど見たことがあるが、美しかった。洋画黎明期の画家でありながら、よくここまでの技術レベルに達しているなと感心する。パリの薄暗がりの小路の奥に、日に照らされた白い壁の建物が描かれている。色の多くのニュアンスがあるために、深味のある絵になっている。そこが他の絵と違う。山脇信徳の「雨の夕」もいい。雨にくすんだ、青灰色が美しい。

[3章]が、白樺派の活動や交流が窺える資料のコーナー、白樺派の面々の顔が見れる写真が興味深った。しかし、学習院出のお坊ちゃんが多いので、それほどのギラギラ感はなかった。

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