「巨匠と出会う名画展」  兵庫県立美術館  07/07/28

 千葉にある川村記念美術館の所蔵作品より、有名どころ65点を持ってきた展覧会である。巨匠と出会う名画展、誰が名付けたか、惹きつけられるタイトルである。しかし、巨匠には出会えなかったなあ。見かけた程度だ。細野不二彦のマンガ「ギャラリーフェイク」の「レンブラント委員会の挑戦」の話で、レンブラントの絵を有する日本の山奥の美術館が出てくる。今度の展覧会のパンフレットを見たとき、あの話のモデルとなった美術館は、たぶんこの美術館なのだなと思った。それもあって、見に行こうかなと思った。結論から言うと、日本の美術館のわりに、いい絵を持っていると思う。西洋画だけなら大原美術館と同レベルなのじゃないかなあ。65点は少なかったように思うが。
 さて、いきなり売りのレンブラントの自画像、若書きでふーんという感じである。悪くはないが、この先、巨匠の二流作品を見せられそうで、厭な予感がする。モネの「睡蓮」、いい絵ではあるが、何度も見た事があるような気がする。たぶんあちこちで借り出されてるんだと思う。ルノワールの「黒褐色の髪の女」、地味な色合いで、二流作品かと思ったが、見れば見るほど良くなってくる。見ると、ルノワール63歳の作で円熟期である。一見派手な「水浴する女」よりいい。ボナールはイマイチ。ボナールのいい絵は本当に色合いが美しいのだが。マティスはなかなか良い。シャガールは、「ダビデ王の夢」、大作である。シャガールは、赤、青、緑、黄色といつも同じ色が使われ、同じように美しい。いいかげん見飽きた。シャガールは、マンネリだ。しかし、普通マンネリになると、見るに耐えなくなるが、そうならないところが不思議ではあるが。
さて、この展覧会で一番良かったのは、キスリングの「姉妹」である。キスリングの作品の中でもかなりいい絵ではないかと思った。といってもキスリングの絵は、数点しか見たことはない。しかしこれ以上の絵を何点も描けるとも思えないのだ。キスリングの絵は、不思議な味わいがある。キスリングの女性像は、蝋人形のようで、無表情、憂愁を感じさせる。服は、陰影を持たせているが、一色で塗られているため、画面を支配している。逆に、バックは彩りを持たせているためにうまくサポートにまわっており、また単純になるのを回避している。今、この絵のカードを見つめ直しているのだが、何が描かれているかをおいといて見てみると、実にいい色合いと形のコンビネーションが作られており、何から何まで褒めたくなってくる。あらためて見てみると、全体に暗い色調の中で、顔や手の肌の明るい色が強調されるように描かれているのかなと思う。また、この姉妹の手が実に特徴的で面白い。姉の手は、男のようで、力強く妹の両肩に置かれている。逆に妹の手は、おとなしく体の前で組まれている。まあ、実にいい絵なのである。
 あと気になったのは、ルネ・マグリットの「冒険の衣服」である。ルネ・マグリットは、3回連続して見ることになった。いい絵とは言いたくないのだが、不思議と惹きつけられる。何か無意識に惹き付ける秘密があるのだろう。一度、この人の作品をまとめて見たいものだ。続いてアメリカの抽象絵画やポップアートがあったが、実につまらない。絵画にとって根本的な、視るという行為から離れてしまっているような気がしてならない。頭で考えて描いている。それなら文章で十分だ。はやく現代美術は、この流れを批判して、新しいものを築いてほしいものだ。
写真はキスリングの「姉妹」

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