ノンフィクション雑誌『G2(ジーツー)』第19号に掲載されている、「騎士道 羽生善治」という記事が反響を呼んでいるらしい。
ルポライター・高川武将が6度のロング・インタビューを通じて「羽生善治の本心に迫ろう」とした、文字どおりの「言葉の対局」です、という売り文句。
原稿が予定の80枚を大幅に超える130枚に達したこともあり、誌面に載せきれなかった「後半」をおよそ2週間にわたって随時ネットで掲載していきます、とのこと(こちら)。
この記事がめっぽう面白い。
確かに、「羽生善治の本心に迫ろう」という記事だ。
誰も遠慮して聞けないことを、ずばずば聞いている。
羽生ファンが聞きたいなと思っていることを、こんだけ、あけすけに質問しているのを、初めて見た。
例えば、強敵・渡辺明について、どう考えているのか?気になるところ。
――渡辺さんという強敵が現れました。昨年の王座戦は一局ごとの内容は凄かったと思いますが結果は3連敗。渡辺さんの存在というのは?
「いやぁ、やっぱり、普通に強いですよねぇ」
――ちょっと失礼な質問かも知れないですけど、かつての羽生さんが相手にそう思わせたように、強い若手が出てきたときに、こいつには叶わないなとか、勝てないなという気持ちが芽生えたりはしないんでしょうか。
「ああ、そうですね、うん・・・・・・それはやっぱり、こう、うん・・・・・・。自分と全く違う感覚を持った人が出てきたときには、自分がそれを出来るかどうか、ということをまず考えますよね。そこから始まるというか・・・・・・まあ、それが出来ないとなったときに、どう思うかはわからないですけど。フフフ。まあ、とりあえず、出来るかどうかやってみる、という感じですかね」
フフフ。に羽生さんの余裕を感じるなあ。
もうひとつ紹介。
――では、自分が将棋の神に選ばれたとは?
(これは、えげつない質問。)
そう聞くと、「ああ・・・・・・うん・・・・・・そうですねぇ、どうなんでしょうねぇ・・・・・・」と、羽生は真剣な面持ちでしばし考えてから言った。
「まあ、突き詰めてもしようがないでしょう。確かに、目に見えない力を感じることはありますが、それを他力というので。それが何かわかったら自力じゃないですか(笑)」
否定してないし、「目に見えない力を感じることはあります」と言ってるし、将棋の神に選ばれたことを否定できないものを感じてるんだなあ。
普通謙遜して否定するところだけど、できるだけ正直に答えようとしてるんだろう。
という具合にかなり面白い。
この記事に気付いていない将棋ファンも多いと思うので、紹介しておこう。