「天気の子」 新海誠監督  ~大都会の抒情詩人、東京を海に沈める~

 新海誠監督の「天気の子」を見てきた。
見出しをつけるなら、「大都会の抒情詩人、東京を海に沈める」かな。

 天気を左右できる力を持ってしまった少女のお話。
前作の「君の名は」と同様、日本古来の伝統をうまく現代日本に取り込んでいて、違和感を感じさせない。
そして、アクションシーンを撮るようになった。
段々、宮崎駿監督みたいになってきた。
特に今回は、「天空の城ラピュタ」へのオマージュを強く感じたね。
城のような入道雲とか。
あと、エンディングにも。
最後、少女の自己犠牲で終わるのかと思いきや、東京を海に沈めた。
二人の命、二人の恋の方が大切なんだよと。
宮崎駿の好きな「生きろ」というテーマだね。
あと、少女の変化する体に「蟲師」の影響もあったかな。

まあ、それはそれとして、やっぱり、新海誠を新海誠たらしめているのは、大都会の映像美なんだよなあ。
本人は長野の田舎出身みたいだけど、大都会の美しさを撮らせたら、彼の右に出る者はいない。
今回は、日本の雨の美しさを描いた。

中原中也の詩に「六月の雨」というのがある。

六月の雨
 
またひとしきり 午前の雨が
菖蒲(しょうぶ)のいろの みどりいろ
眼(まなこ)うるめる 面長(おもなが)き女(ひと)
たちあらわれて 消えてゆく

たちあらわれて 消えゆけば
うれいに沈み しとしとと
畠(はたけ)の上に 落ちている
はてしもしれず 落ちている

お太鼓(たいこ)叩(たた)いて 笛吹いて
あどけない子が 日曜日
畳の上で 遊びます

お太鼓叩いて 笛吹いて
遊んでいれば 雨が降る
櫺子(れんじ)の外に 雨が降る

ちょっと映画とは感じが違うけど、抒情があるのは同じ。
今の日本では感じることは少なくなったけど、昔はあったんだよなあ。
雨に抒情が。

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