「絶筆」展  兵庫県立美術館 07/06/23

著名な日本の画家約100人の、それぞれが死の直前に描いた作品を集めた展覧会である。面白いテーマ展覧会であったといえよう。たいがいが、有名美術館か一人の画家の作品の展覧会がほとんどといえるが、こういうテーマ展覧会はリスクが大きいのかめったにないし、また実際成功していないように思う。けれども今回はまあ良かった。99年の京都国立近代美術館の「顔 絵画を突き動かすもの」展に次ぐような気がする。
絵を見て思ったのは、画家の最後の思いという重苦しいものよりは、ああこれはだれそれの作品だなと見てわかるその画家らしさだった。前田寛治 《海》、佐藤哲三《帰路》、岡田三郎助《編み物》、黒田重太郎《邨荘徂春》がよかった。赤松麟作という画家は知らなかったが、彼の《海》という作品はよかった。離れて見ていて、まあいいなあと思って、近づいて見てびっくりした。タッチが、ひとふでで荒く、迷いがない。近づくと良くないが、離れて見ると効果が現われるという、練達の技だなあと感心させられた。
 全体として、作品がゆったりとしたスペースに飾られていて、絵を堪能できた。

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