羽生竜王、すわ事件かと思わせて、プレーオフで豊島八段に勝つ。

 佐藤天彦名人への挑戦者を決める第76期A級順位戦は、6者によるプレーオフとなっている。
既に、豊島将之八段が久保利明王将、佐藤康光九段、広瀬章人八段を破って、羽生善治竜王と戦う一番が行われた。

 豊島八段の先手で、横歩取りの戦いになった。
均衡が保たれていたが、終盤明らかに後手羽生竜王の有利になったかと思った。
AbemaTVで見ていたのだが、解説陣も気が緩み、深浦九段の弟子の佐々木大地四段が遊びに来て、漫談が始まった。
その漫談も終わろうかという瞬間、羽生竜王が驚きの手を指した。

▲3五桂を手抜いて、△4八と金と銀を取ったのだ。
誰もが、△3三金寄りと4三の歩の地点を守ると思っていたのに。

 ▲4三馬から王手の連続を喰らって、負けの手順が深浦九段によって示されていく。
事件かと思った。
羽生竜王と言えど、一手詰みを見逃して、負けたことがあるからね。
この大事な一番でそれが起こったかと思ったよ。
豊島八段も恵まれない戦いを続けていたが、この思わぬ大逆転で初タイトルしかも名人を取るかと夢想したのだが。

 慌てて、ニコ生を見る。
ニコ生では、将棋ソフトぽんぽこの評価値が示されることがあるから。
しばらくすると、評価値が示された。
羽生竜王の方が、プラス1500ぐらい。
これには、驚いた。 これでも勝っているのかと。
その後の深浦九段の解説で、羽生竜王が余していることが判明してくる。
深浦九段の「普通に勝てばいいのに」という言葉まで飛び出してくる。
最後は、解説通り、羽生竜王が押し切った。

 いや、凄い将棋だね。
本当にハラハラドキドキさせる将棋。
皆の予想を裏切った驚きの手で勝つ。
これぞ、羽生将棋の醍醐味。
藤井聡太六段が今盤石の将棋で勝っているけど、羽生さんは魅せて勝つんだよなあ。
そこが違う。
ま、藤井聡太六段もその内、同じような魅せる将棋を指すような気もするけど。

 これで、羽生竜王は、次3/21に稲葉陽八段と名人挑戦者を決めるプレーオフ決勝を戦う。
勝てば、佐藤天彦名人と名人戦を戦うことになる。
天彦名人は、今年度、勝率0.471と負け越す不調。
ソフトの影響で変わりつつある現代将棋に対応できていないようだ。
これなら、羽生竜王が勝ちそうだね。
名人位を奪取すれば、タイトル通算100期獲得を名人奪取で飾ることになる。
最高のストーリーだね。
竜王奪取による永世七冠達成 ⇒ 国民栄誉賞 ⇒ 名人奪取でタイトル100期獲得、名人・竜王で棋界最高位になる。
で、これ以上ない話。
こういう夢のような話を実現してしまうことが、将棋の神様に愛されていると言われる由縁だね。
今年度のA級順位戦、佐藤康光九段に敗れて4敗目を喫した時はさすがに無理だと思ったけど、豊島八段が2連敗してチャンスが巡って来た。 ほんと、強運の持ち主だよね。

 これに対して、豊島八段の不運さは特筆もの。
今回も、プレーオフで3連勝しているのに、ここで敗退。
同時進行していた久保王将との王将戦でも負けてしまった。 これでタイトル挑戦に4連敗だ。
今年度の勝率0.700、一時期8割超えていて、絶好調だったのに。
悲運の棋士だね。

 ま、それはさておき、羽生竜王が名人を奪取するのをじっくり見届けよう。

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