「将棋界の一番長い日」が、凄い結果になった。

 昨日、「将棋界の一番長い日」と呼ばれる、A級順位戦最終日の対戦が行われた。
名人挑戦者を決める戦いと共に、A級からの降級者を決める戦いでもある。
棋士10人による5試合の一斉対局。
勿論、棋士は別の対局の試合結果がわからないよう、隔離される。
今回は5試合中、4試合が挑戦・降級に関わる試合で、熱戦が期待された。
組み合わせは、
△久保 利明九段(6勝2敗)-▲渡辺 明二冠(5勝3敗)
△行方 尚史八段(6勝2敗)-▲森内 俊之九段(3勝5敗)
▲広瀬 章人八段(5勝3敗)-△三浦 弘行九段(3勝5敗)
△佐藤 康光九段(4勝4敗)-▲深浦 康市九段(4勝4敗)
△郷田 真隆九段(4勝4敗)-▲阿久津 主税八段(0勝8敗)
行方八段と久保九段が一歩リード。
渡辺二冠と広瀬八段にも、名人挑戦のチャンスがある。
降級は、阿久津八段が確定。
残り1名は、森内九段、郷田九段、三浦九段の誰かという厳しい戦い。

 去年は、たしかNHK-BSで放映されたと思うが、今年はCS囲碁・将棋チャンネルで無料で見れた。
朝10時から始まった一斉対局、全部見たわけではないが、ほぼこのチャンネル固定でつけっぱなしにしていた。

 まず、久保九段vs渡辺二冠、あっさり渡辺二冠が勝った。
好調、渡辺二冠の完勝だった。

 次に、行方八段vs森内九段
最後、詰むや詰まざるやの戦いになったが、森内九段が相手の攻めを打歩詰めでしのいで、相手玉を悠々と仕留めた。 驚異の受け。 森内九段の降級だけは避けたいという必至の思いが、行方八段の名人挑戦への意欲をかろうじて上回った結果になった。
これで、行方八段、渡辺二冠、久保九段による名人挑戦のプレーオフが決まった。
あと、広瀬八段も勝てば、プレーオフだ。

 そして、郷田九段vs阿久津八段。
長考合戦で一番遅い展開だった。
阿久津八段が少しリードしたようだったが、最後郷田九段の勝ち。
これで、郷田九段も降級をしのいだ。
やはり森内九段といい郷田九段といいタイトル経験者は、最後の踏ん張りが違う。
これで、三浦九段の降級が決定した。 勿論三浦九段はそのことをまだ知らない。

 次に、広瀬八段vs三浦九段
三浦九段の粘り腰が見られたが、最後、広瀬八段が安全策を取りつつ、腰を落として勝ち切った。
これで、広瀬八段もプレーオフ進出が決定。
行方八段、渡辺二冠、久保九段、広瀬八段によるプレーオフが決まった。
4人によるプレーオフなんて、大昔にはあったようだが、自分は知らない。
これは、盛り上がりそうだ。
一方、三浦九段は、14期守り続けてきたA級から陥落することに決まった。
負けて降級だから、諦めもつくだろう。

 最後は、佐藤九段vs深浦九段
佐藤九段の玉が入玉できそうで、楽勝かと思われた。
しかし、佐藤九段は、入玉より、相手玉を仕留めにかかっているように思われた。
佐藤九段の美学だな。
しかし、深浦九段の粘りも凄い。
棋界一の根性の持ち主だと思うのだが、いつのまにか深浦九段の玉も入玉できそうになった。
こうなると、点数の戦いになる。
面白くない試合だ。
しかし、深浦九段にも魅せる将棋を指す、という思いがあったようだ。
駒を取ると見せかけて、入玉している相手玉を詰ましにかかった。
そして、9段目にいる玉を見事詰ませた。
2:09に、佐藤9段が投了した。
唯一の名人挑戦と降級争いに関わらない試合が、一番長く深夜2時まで戦った。
去年も、三浦vs久保が深夜の死闘を繰り広げた。
やはり、「将棋界の一番長い日」には、ドラマが起こる。
4人によるプレーオフと深夜の激闘。
こうやって、ドラマの積み重ねが、歴史を作る。

 さて、4人によるプレーオフだが、
広瀬八段vs久保九段(A)
(A)の勝者vs渡辺二冠(B)
(B)の勝者vs行方八段
という順位有利な変則プレーオフだ。
これは、意外だった。
本命・渡辺二冠、対抗・広瀬八段と予想する。
ここ一番の戦いで、渡辺二冠に勝てる精神力があるのは、広瀬八段とみた。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
「関連コンテンツとスポンサーリンク」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. retire2k より:

    昨日の夕方、気がついて囲碁・将棋チャンネル観ました
    ちょうど晩御飯休憩の時間だったのですが
    出前注文を何にしたかを伝えてるのが面白かったですw
    みろく庵がどんな店なのか気になってしょうがないです

    • 月灯り 探歩 より:

      囲碁・将棋チャンネルは、CSで見れないと思ってしまいますよね。
      無料なら、NHK-BSよりこっちの方がいいかも。