木村一基九段が、7度目のタイトル挑戦で悲願の初タイトル奪取に成功。 予想を覆す頑張り。

 王位戦第7局、挑戦者の木村一基九段が豊島将之王位に勝ち、4勝3敗でタイトルを奪取した。46歳3カ月での初タイトル獲得は最年長記録となる。

 豊島名人・王位に番勝負で勝ったんだから凄い。
予想を覆す勝利だ。
終盤の攻撃の指し手が凄く正確になったような印象を受けた。 受けは、千駄ヶ谷の受け師と呼ばれるぐらいだから、定評があるんだけど。
「竜王戦 1組 3位決定戦 決勝」と「王位戦 挑戦者決定戦」というタイトル挑戦のここぞという勝負で、立て続けに羽生善治九段に勝って驚いたんだが、それで勢いに乗ったというのもあるんだろうねえ。
しかし、過去の番勝負では悉く負けてきたからねえ。

木村一基九段のタイトル挑戦歴
2005竜王0-4(渡辺)
2008王座0-3(羽生)
2009棋聖2-3(羽生)
2009王位3-4(深浦)
2014王位2-4(羽生)
2016王位3-4(羽生)
6度の番勝負で悉く負けてきた。
渡辺・羽生に全敗したときは、こりゃダメだと思ったけど、2009年棋聖戦でタイブレークに持ち込んだ時は、おっと思って、タイトル近しと思って、2009王位の深浦戦で3連勝した時は、取ると思ったけどねえ。 そこから4連敗して逆転負けを喫した。
それ以来、木村一基九段がタイトルを取るのは無理と思ってた。
2014年と2016年に羽生王位に挑戦したけど、接戦に持ち込んでも勝てる気がしなかったなあ。
それで、今回勝ったんだから、執念が稔った。
森下九段もタイトル戦で6度挑戦者になっていて、「無冠の帝王」と呼ばれているみたいだけど、それを上回る7度目の挑戦だったからねえ。
解説が面白いし、好きな棋士だから、タイトル取れて、良かったよ。

そして、木村一基九段の年齢が46歳2ヶ月。
今までの初タイトルの老齢記録が、有吉道夫の37歳6ヶ月だそうだから、それを10歳近く上回ったことになる。
それも凄い話。

豊島名人のインタビューを読んだけど、連戦続きで研究時間が少なくなって、戦型のストックが少なくなってきたと語っていたけど、それが最近少し不調になってきた原因みたいで、そこに当たったのが少しラッキーだったかな。
あと、羽生九段が無冠になって、タイトルホルダーが入り乱れる過渡期になったのも良かった。
まあ、今までが羽生九段が無双して、そこに渡辺3冠もいたのが凄く不運だったんだけど。

木村新王位が、インタビューで色々聞かれて、嬉しさを押し殺して、少し澄ました感じで受け答えしていたのが、らしくなかったけど、いつも支えてくれた家族についてどう思いますか、何と言いますかと聞かれ、我慢できず、思わず目頭を押さえた。
泣くのは恥ずかしくて、絶対我慢すると思ったけど、無理だったみたいだね。
それからは、諦めて、ハンカチまで持ち出して、涙を拭いていた。
「帰ったら、家族に直接言います」と答えて、にこっとしていたのが、らしかった。
おめでとうございます、という所だね。

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