羽生名人が、元チェス世界王者カスパロフと対談。

 昨日深夜、NHKのEテレで羽生名人と元チェス世界王者カスパロフの対談が放映された。
カスパロフ51歳、羽生名人44歳。
カスパロフの方が年上でかつ世界チャンピオンだから、格上かな。
羽生名人は多くのことを語れる知性の持ち主なのだが、遠慮深いし、自分の意見を堂々と述べることが苦手でもある。
それもあって、羽生名人が質問することが多かった。

 羽生名人よりカスパロフの人間性の素晴らしさに驚いてしまった。
カスパロフは、ロシア人。
チェスは強くて、頭もいいだろうが、傲慢な所もある人であろうな、と勝手に思っていた。
ところが、とても温厚。かといってお人よしではない。
とても思慮深さを感じさせるが、それが表立ってもいない。
とても素晴らしい人に思えた。

 カスパロフは、強いだけでなく、創造性を重視しているそうだ。
いつも、ここで何か新しい手をさせないか、新鮮な眼で盤面を見ようとしている、と。
そして、対談前に二人でチェスをした。
羽生名人は、チェスで日本ランク一位でもある。
カスパロフは、1戦目を初手奇手で、2戦目は自ら千日手を打開して快勝。
単に勝つだけではなく、魅せて勝つチェスをしたようだ。
凄いね。
羽生名人がお株を奪われた。

羽生 : チェスはコーチがいる。 将棋はコーチがいない。 どう思いますか?
カスパロ : チェスにはコーチが必要。 特に子供には、コーチが重要。
       優秀なチェスプレイヤーには、同じ数の優秀なコーチがいると言って過言ではないで
       しょう。
羽生 : あ~、なるほど。

羽生さん本音を語らないね。
将棋界では、教えて強くさせることはできない、と棋士皆が思っている。
自分で考えなければ、強くならない。
教えると、自分で考える力が身に付かない、と思っている。
羽生さんには、そう言ってほしかった。
そして議論してほしかった。
もしかしたら、羽生さんは、将来カスパロフの確信を将棋でも試そうとするかもしれない。
けど、羽生さんは、生涯現役かな。 大山名人にならって。

羽生 : なぜまだまだ勝てるのに、40才で引退されたのですか?
     私からすると、信じられない。
カスパロ : 新しい戦略や新しい視点を創造するのを大事にしていました。
       引退する頃には、そうしたことに、昔ほど情熱を持てなくなったのです。

一番強い時期の年齢について語り合った後、
カスパロ : 若い棋士は、怖くないですか?
羽生さん、当たり障りのない答えをした。
カスパロさん、なんて答えるかなという顔をして聞いていたから、生真面目な答えに内心がっかりしただろうね。

最後に、勝つ秘訣はと、問われて、
カスパロ : 私は努力しかないと、信じています。 それだけです。
       コツがあればいいのですが、ありません。
       成功の秘訣は、努力なんです。

身も蓋もないことを言っているのだが、重みのある、納得できる話しっぷりであった。

カスパロさん、対談が終わると、すぐ立ち上がった。
天才同士の深い話にならなかったのが、残念。
羽生さんが、自分を出さなかった。
カスパロさんに強いリスペクトがあったからかな。

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