羽生棋聖が渡辺明竜王に挑戦する竜王戦第4局が行われた。
羽生棋聖がここまで2勝1敗とリードした状況。
矢倉から囲わない内に激しい戦いになって、問題の局面。
先手渡辺竜王が王手に対して、▲7七歩と打った場面。
ここで、後手羽生棋聖の飛車は、△6六飛、△5六飛、△3六飛、と3か所逃げ場所があるが、正解は、△5六飛で後の2つは飛車が取られる展開で危ないという藤井猛九段の解説だった。
ポナンザも△5六飛で、後手有利。
ところが、羽生棋聖が△6六飛と指した。
ポナンザの評価値ががくっと振れて、すわっ逆転かと思ったのだが、藤井九段が検討を進めて行く内に、危なっかしい手が続くのだが、寄せに近づく手が見つかって行く。
この辺りの藤井九段の解説が面白かった。 踏み込んだ発言が続く。
羽生さんは、見えてる景色が違うんですよ。
△5六飛なんて、控え室の棋士達の思いつく寄せなんて、面白くないから、やらないんですよ。
控え室を黙らせる寄せを見せるんですよ。
これは、渡辺竜王の心を折ろうとしてますね。
飛車を取られそうになりながら、後手が△3六桂と打った場面。
先手玉に対して、挟撃体制を整えた。
見事な寄せの構想。 人外の寄せだね。
この辺りだったろうか、
羽生棋聖がトイレに席を外した。
すると、大きな落雷の音がした。 トイレの水を流す音かと思ったんだが。
藤井九段が佐藤天彦名人誕生の時にも雷が落ちましたね、という話をした。
いや~、羽生棋聖の勝ちを告げる、羽生竜王奪取を予感させるような落雷だったなあ。
象徴的。 こういう所がドラマチック。
この後、渡辺竜王も▲4四香の王手から、鋭い攻めを見せたのだが、羽生棋聖は間違えることなく、受けて、渡辺竜王の投了となった。
羽生棋聖が、渡辺竜王の心を折る勝ち方を見せたかと思ったんだが、最後渡辺竜王も意地の反撃を見せたので、どうかな? 羽生棋聖も余裕を持って受けたようにも見えたので、何ともわからないが。
羽生棋聖は、どの時点からこの寄せを読み切っていたんだろう。
しかも、渡辺竜王が最後なかなかの反撃を見せたように、何かいい手があったら、逆転する要素をかなり含んでいた。 それもどこまで見切っていたのか。 凄いね。
これで、羽生棋聖が3勝1敗で永世七冠に王手をかけた。
流れは完全に羽生棋聖だな。
2勝先勝した時は、3戦目、昔の3連勝4連敗があったので、それを避けるために、わざと渡辺竜王得意の合い穴熊にして、緩めたように思えた。
そして、勝負所の4戦目で勝ち。 思惑通りに流れているように見える。
いよいよ夢の永世七冠誕生へ王手。
一気に決めるんじゃないかな。