「古代史の謎は「鉄」で解ける」 長野正孝著  ~我田引水~

「古代史の謎は「鉄」で解ける」 長野正孝著  (PHP新書) を読んだ。

評価:★★     普通。

 「古代史の謎は「海路」で解ける」に続く長野正孝著の第2弾。

 前回は、古代史を「海路」の視点から解明していたが、今回は「鉄」の視点から読み解いていた。
「鉄」の視点と言っても、「海路」の延長だね。
著者は、元国土交通省の港湾技術者で、港湾の実務に詳しいエンジニアだから、その視点が面白い。

面白かったのは、
・日本海沿岸から朝鮮南部にいた海洋民族「倭人」の存在。
「倭人」は、朝鮮から日本への鉄の輸送を担っていた。
・高句麗の南下が、南朝鮮から日本への民族移動を引き起こした。
・前方後円墳は巨大公設市場だった。

 最初の二つは、そうかもしれないと思うのだが、前方後円墳の巨大公設市場は、我田引水が過ぎる。
前方後円墳は、お墓だろう。
NHKの歴史ヒストリアで放送していたが、
2世紀頃の中国で、仙人が東の海に浮かぶツボ形の島の主で、その島では不老長寿の薬が採れると考えられていた。
その後、不老長寿の仙人が住む理想郷が壺の中にあったと考えられていたそうだ。
前方後円墳は、これの影響を受けていると思うけどね。

 その他、著者の意見は、少しの根拠で、どんどん自分勝手な意見を述べている。
歴史の専門家でないお気楽さのお陰だろう。
なのに、前著を専門家に批判されて怒っている。
見苦しい。
理系なら、証拠を集めて、実証していくのが当然だろう。
しかし、こういう説も否定するつもりはない。
面白いし、正しいこともありうると思うし、これがきっかけとなって、実証が進んでいく場合もあるだろう。
ただ、著者は専門家でないお気楽さで話せているということを十分自覚して話さなければいけないと思う。

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