「桃山時代の狩野派」展  ~京都国立博物館~

 京都国立博物館に「桃山時代の狩野派 永徳の後継者たち」を見に行った。
混雑しているかと思っていたら、そんなことはなかった。
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8年前に実施された「狩野永徳」展は、凄かった。
自分の見た展覧会の中で5本の指に入る。
しかし、狩野派というと、お手本を作ったために画一的になりダメになったという思いがあり、実際そういう絵も多い。
一方、多くの絵を見ている内に、なかなか素晴らしい狩野派の絵に出会うこともあった。
この展覧会で狩野派はどうなんだ?その答えが得られるかもと。

まず、主な狩野派の画家を紹介。

正信:祖  室町幕府御用絵師らしいけど、多分絵を見たことがない。
元信:2代目  この人の絵は、素晴らしい。 雪舟と見紛うことがあるほど。
永徳:元信の孫  文句なく狩野派No.1の画家。
宗秀:永徳の弟  永徳の影武者。
  大阪市立美術館の「四季花鳥図屏風」を「狩野永徳」展で見て、その素晴らしさを知る。
長信:永徳の弟  江戸への先兵。
  「日本国宝展」で「花下遊楽図屏風」を見て、その素晴らしさに惚れる。
   誰だ、この画家はと思った。
内膳:永徳世代の門弟。 荒木村重の家臣の子。
   旧主の遺児岩佐又兵衛は内膳の弟子の説あり。
   そうであってもおかしくないし、そうあってほしい、と思わせる腕前。
光信:永徳の長男。    
孝信:永徳の次男。
山楽:浅井長政の家臣の子。長政滅亡後、秀吉に仕え、秀吉の命により永徳の養子に。
   京狩野の祖。 山雪の師匠。 
甚之丞:宗秀の息子。 影の実力者。
貞信:光信の長男。 27歳で若死。
探幽:孝信の長男。 中興の祖。 天才と言われたが、毀誉褒貶のある画家。

各絵について。
★唐獅子図屏風   狩野山楽筆
顔が小さく、胸前が大きいバランスを欠いた獅子の姿に、辟易する。

★柳図屏風   狩野宗秀筆
太い幹とは対照的に繊細な枝葉。風になびいている。ちょっと弱いかな。
大阪市立美術館の「四季花鳥図屏風」には、大分劣る。

★牡丹図襖  狩野孝信筆
繊細な美しさがある。 草花がいい。 画の傷みが激しいのが残念。

★源氏物語図屏風  狩野派
離れて見ると、”霞”が多すぎて、ダメ。
近くで見ると、ウマい。
左上に描かれている翼を背負って舞っている人達の姿がとても気になった。
何だろう、あの舞いは。

★山水図襖   狩野山楽筆
くっきりとした墨跡に心洗われる。 はるかなる山影との対比がいい。

★松井与八郎像  狩野派
松葉小紋散らしの肩衣が斬新。

★中川秀成夫人像  狩野派
本展一番の肖像画。 素晴らしい。
茶を基調としながら、華やかな絵画。 気品がある。

★豊国祭礼図屏風   狩野内膳筆
後期展示で見れず。
相当良さそうな作品。 残念。

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★花下遊楽図屏風   狩野長信筆
これも後期展示で見れず。
この屏風を再び見ることを楽しみにしていたのに。
展示替えがあることを知らなかった。 大失敗。

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★北野社頭遊楽図屏風   狩野孝信筆
傑作。
右に飲み食いする男女。
中央に厨房。 そこを囲う白と黒の縞の垂れ幕がいいアクセントになっている。
左に、踊る人々。
これらが、全体として美しい。

★調馬・厩馬図屏風   狩野派  滋賀・多賀大社
いい。 人がクローズアップで描かれている。
武士の顔がおだやかなのが意外。
それにしても、桃山の衣装のデザインの豊かさに感服する。

★犬追物図屏風   狩野山楽筆
丸い人馬の配置。 それを見守る武士の列が美しい。
犬追物って、残酷だなあと見ていたが、弓矢の先にたんぽんが付いているのに気付いて、驚いた。
殺し合いをしている戦国の世においても、無駄な犬の殺傷をしていなかった、日本人の心がとても嬉しかった。

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★南蛮屏風   狩野内膳筆
黒い海と金雲の対比が美しい。
個々の人物描写にも確たる物がある。
中央上の丸い地球図。
左から右へと流れる、南蛮人の列。
デザイン的で美しい。

★唐美人製茶・唐子図屏風  狩野派
いい。

★芒燕図屏風   狩野孝信筆
侘しい風景。
これが、屏風として成立するのか。 その心持とは?

★住吉社頭図壁貼付   狩野貞信筆
27歳で若死した貞信筆。
この茫漠として広がる土地感が素晴らしい。
これは、生で見ないと感じ取れない。
 左下の松の群落の下の草地が緑に塗られている。
その部分に一人の婦人の顔が重なっている。
その婦人の顔が薄く緑で塗られているのだ。
印象派の絵で緑の葉影にいる人の顔が、薄く緑で描かれているように。
実に現代的なのだ。
 もしかしたら、凄い天才だったかも。 ただこの一作で判断するのは無理があるが。

★柳下高士図襖   狩野甚之丞筆
なかなかいい。

★松に孔雀図壁貼付・襖   狩野探幽筆
さて、探幽。
案外、リアルな描き方なのに驚く。
松の葉が、緑一色で画一的に塗られているかと思うと、そうではなく、一本一本描かれていて、様式化されていない。
松の幹は、線ではなく、ガサガサ感を出して、色塗りで表現されている。
孔雀も左上を向いた顔に、孤高な感じが表現されている。
そして大画面の迫力。

★柳鷺図戸襖   狩野探幽筆
簡略化された柳の枝葉の表現。
優れた近代性を感じる。

 なかなかどうして狩野派は、多士済々。
いい画が多かった。
気付いたら、3時間ぐらい見ていた。

 真剣に命のやりとりをしていた戦国時代。
そうかと言って、茶をたしなみ、茶道具や屏風を褒美として与えていた信長とその部下達。
そういう武士達を相手に、下手な絵を描けば殺されかねない覚悟で描いていた絵師達だ。
いくら一派を築いたために堕落すると言っても、そう簡単に堕落はしないのだ、と思った。
ただ、永徳以降、時代が下がるにつれて、絵が優美になっていくのは、如何ともしがたいようだ。
しかし、画一的に堕しているかというと、そうでもない絵も多い。

 なかなか見ごたえのある展覧会であった。

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