《丸山君の像》 《村童図》
岸田劉生の軌跡を小磯記念美術館で見た(10/08/28)。劉生の絵は、ちょくちょく見るが、まとめて見た事はないので、期待していた。笠間日動美術館のコレクションからの展示であるが、肝心の油彩は少なく、しかもイマイチであった。劉生の絵がイマイチなのかコレクションがイマイチなのかよくわからないが。小磯記念美術館は、六甲アイランドにある。中庭を回廊が囲み、その外側に展示室が並んでいるという面白い建屋の造りになっている。
初期の絵が並んでいるが、あまり良くない。いいのは、やはり肖像画である。《丸山君の像》が、素晴らしい。劉生の弟子らしい。紅い変な帽子が印象的である。人の良さそうな顔で、顔の大きさの割に、上半身の幅を狭めているため、ちょっと謙虚な人柄の印象を与えている。絵が独特の雰囲気を醸し出しており、劉生の絵だなという絵である。隣に、《村娘之図》。くっきりとした眼が、少しきつく、陰影が濃く、少し大人びた印象を与える。大原美術館でも《村娘之図》を見たことがあるが、そちらの素晴らしかった記憶がよみがえってきて、これもいいが、少し落ちる。良かったのは、この2点のみ。日本画は、結構あったが、見るべき絵は、なし。案外駄目なのには、がっかりした。ということで、劉生を感じさせる絵は、あまりなし。