FIFAは7日、最新の世界ランキングを発表した。
アジア大会での準優勝により、前回50位の日本は27位へと順位をジャンプアップさせた。
一体、FIFAランクってどういうものだろうと疑問が湧き、調べてみた。
FIFAランクは、いい加減なランキングで当てにならないと思っていたが、2018年8月16日発表のFIFAランキングから、新たな算出方法が使用され、正しいランキング算出方法に改善されていたのだ。
スポーツ専門家と統計家のグループが、Elo(イロレーティング)の計算方法に基づき2018年方式の計算式を作成したので、間違いない。
計算方法を簡単に説明すると、
代表チームの既存のポイントに加算または減算することによって行われる。
試合ごとのポイントの算出方法は、
試合の重要度係数 (A) × (試合の結果係数(B) – 試合の期待結果係数(C) )
勝ちチームに加算されるポイントと負けチームに減算されるポイントは、同じなので、全チームのポイントの総和は変わらない。
ただし、W杯や大陸選手権の本大会の決勝トーナメントの試合に関してはポイントの加算のみ行い、減算は行わない。
だから、その分だけは、全チームのポイントの総和は増えていくことになる。
なかなかよく考えられたシステムだと思う。
さて、各係数について調べてみよう。
[1]試合の重要度係数 (A)
5:国際Aマッチデー以外の親善試合
10:国際Aマッチデーの親善試合
15:各ネーションズリーグのグループステージ
25:各大陸選手権予選とFIFAワールドカップ各大陸予選、各ネーションズリーグのファイナルフォー(最終リーグ)とプレーオフ
35:各大陸選手権本大会の準々決勝以前の全試合
40:各大陸選手権本大会準々決勝以降の試合(準々決勝、準決勝、3位決定戦、決勝)、FIFAコンフェデレーションズカップの全試合
50:FIFAワールドカップ本大会準々決勝以前の全試合
60:FIFAワールドカップ本大会準々決勝以降の試合(準々決勝、準決勝、3位決定戦、決勝)
試合の重要度に応じて重み付けがなされている。
[2]試合の結果係数(B)
勝ち:1 PK戦による勝ち:0.75 引き分け・PK戦による負け:0.5 負け:0
[3]試合の期待結果係数(C)
1 ÷ (10^(D÷600) + 1) ※ D=(対象国の対戦相手の試合前のポイント) – (対象国の試合前のポイント)
具体的にどんな計算結果になるか、例を挙げよう。
国際Aマッチデーの親善試合で、ポイントが100上位の相手に勝った場合、5.9ポイントが加算されるが、負けると、 4.1ポイント失う。
対戦相手から見れば、ポイントが100下位の相手に負けると、5.9ポイント失い、勝つと4.1ポイント得る。
なので、両者の総ポイントは試合後も変わらないのである。
試合の重要度によって、どれくらいポイントが変わるか例を挙げると、
ポイントが100上位の相手に勝った場合。
試合の結果係数(B)について、例を挙げると、
ポイントが100上位の相手に引き分けた場合、0.9ポイントが加算されるが、100下位の相手に引き分けると、 0.9ポイント失う。
試合の期待結果係数(C)だけが、イメージしにくいので、計算例を掲載しておく。
さて、となると、最初の初期ポイントがどうだったかが気になる所。
新方式でのランキングの算出に当たり、旧方式における最新のランキング(2018年6月7日発表)の順位に基づいて新たにポイント数が割り振られた。
具体的にはランキング1位のドイツを1600ポイントとし、以下2位フランスが1596ポイント、3位ベルギーが1592ポイントと順位が1つ下がる毎に4ポイント少ないポイントが割り振られた。
イメージしにくいので、グラフにした。
横軸が、各国の順位。 その順位のチームのポイントが縦軸である。
赤線が2018年6月7日発表の割り振られたポイント。
青線が2019年2月7日に発表された最新の世界ランキングによるポイント。
W杯や大陸選手権の本大会の決勝トーナメントの試合に関してはポイントの加算のみ行い、減算は行わないので、その分だけ全体のポイントは増えている。
総ポイントで7226ポイント増えていて、1か国当たり、34ポイントになる。
上位チームを拡大すると、
上位20チームのポイントは増え、20~45位のチームはポイントは増えていない。
45位より下位チームはポイントが増えている。
これは、面白い結果。
最初、順位が1つ下がる毎に4ポイント少ないポイントが割り振られたが、上位20チームに関しては、もっとポイント差があるということ。
そして、45位より下位チームは、ポイント差がもっと少ないということだ。
20~45位のチームについては、4ポイント差が適正だったということかな。
まだ、新ポイント制度が導入されて、5か月しか経っていない。
年月を経れば、もっと実力を反映したポイント数になるだろう。
上位20チームのポイントがもっと上昇し、差が開き、下位チームは、中位に対して、ポイント差を縮めるだろう。
そして、より実力を反映したランキングになっていくだろう。
これは、本当に素晴らしい改定だったと思うよ。
ランキングがWCや各大陸選手権の組み分けに使われる以上、正しいランキングが必要だからね。
問題点をあげるとすれば、欧州だけネーションズリーグがあって、ポイントを上げる機会が多いこと。 しかし、それもポイントの加算のみ行うことはないようだから、問題はほとんどない。
試合の重要度係数は、今後の結果を見て、より適正値化する必要があるだろうね。
そうそう、日本代表は、今回のアジアカップの準優勝で81ポイント獲得した。
また、ロシアWC前後で32ポイントしか獲得していない。
なぜならグループリーグで1勝1敗1分けで、ほぼプラマイゼロ(上位相手なので、若干プラス)、決勝トーナメントで負けで増減なし、だからだ。