今年から、ちょっと戦術分析したいなあと思っている。
今まで長年、選手のプレー中心にゲームを見てきた。
しかし、近年試合の勝敗における戦術のウェイトがとても高くなってきている。
2019 AFCアジアカップの決勝 日本1-3カタール戦なんか顕著だったよね。
J1もマリノス、川崎と戦術的なチームの優勝が続いたし。 ということで、戦術分析を勉強してみようかと。
ネットで調べて、まず、西部謙司の「戦術リストランテ」を読んでみた。
2011年当時のヨーロッパの強豪チームの戦術を分析した本で、面白かったけど、初心者が勉強する本ではなかったな。
そこで、次に、坪井健太郎の「サッカーの新しい教科書」「サッカーの新しい守備の教科書」「サッカーの新しい攻撃の教科書」と建て続けに読んだ。
スペインへ・バルセロナに在住して、スペインサッカーライセンスレベル 2を取得して、アンダー世代のチームの第二監督を経験して来た人で、こちらは大変勉強になった。
まだまだ勉強していくとして、もうそろそろ実際に分析してみたくなった。
題材は、録画して残していた天皇杯・G大阪0-1川崎だ。
見返すのは、気分悪いけどね。
川崎の4-1-2-3に対して、何とガンバは未経験の3-4-2-1で対応した。 途中から押し込まれて、5-4-1になってしまったけどね。
リーグ戦で完敗してたので、何かを変えなければいけなかったのではあるが。
川崎は、基本的に黄金期のバルサを踏襲している。
4-1-2-3で、ボールを繋いで攻めること、前でボールを奪われたら、素早くプレスをかけてボールを奪い返すことなど、同じスタイルだ。
じっくり見て驚いたのは、川崎のビルドアップの多彩さだ。
基本は、アンカーの守田が両CBの間に落ちてビルドアップに加わり、両SBが高い位置を取る。
守田には、IH2人とSB2人のパスコースが出来る。 最初はSBへのパスが多かったかな。
守田が落ちずにそのまま3角形の場合もある。 そして、試合が進むにつれ、アンカーが田中碧に代わり、大島僚太に代わり、果ては、両CBが左にずれて、山根が右に入る場合もあった。 これには、驚いたな。
こんな多彩なことをやっていたんだと。 こんなに習熟していたのかと。 まだ3トップの1年目だぜ。
川崎は多彩な崩しを見せたが、印象に残った場面を一つ紹介しよう。 前半1:10
山根が狭い所で鋭い縦パスを田中碧に通した。 田中は少し後ろにいた守田に落としたのを、守田はダイレクトでスルーパス、そこに田中が走り込んで、シュートを打った。
ゴール前に2人走り込んでいて、かなりのピンチだったのだが、助かった。
ワンツーではなく、ワンツースリーの見事な崩しだった。
山根が狭い所で正確な鋭い縦パスを通したのが見事だった。
この日の山根はとても良かった。 右サイドで仕掛けて、藤春を抜いて決定的なセンタリングを上げたり、ドリブルしているパトリックからボールを奪ったりした。
ガンバの矢島が中途半端な位置にいたのが、ガンバの悪かった所かな。
今度は、ガンバ。 前半15:36
ビルドアップで矢島が藤春に余裕でボールを出せた(矢印0)。 藤春にマークはついてなかったのに。
ビルドアップでは、前に出せるチャンスでは、必ず前にボールを進めなければならない。
そのチャンスを逃して、ヨンゴォンに戻した(矢印1)。 それを見て、藤春はボールを受けるコースを作るために後ろに下がる。 ヨンゴォンは矢島にリターンする(矢印2)。 矢島は後ろに下がって来た藤春にパスを出すが、後ろにずれる質の悪いパス(矢印3)。 後ろ向きの藤春は、どうしようもないから、ヨンゴォンに戻す(矢印4)。 ここで、ヨンゴォンは相手のプレスを受け、慌てて中央に蹴り損ねたのを拾われて、大ピンチを迎えるが、シュートミスに助けられた。
これを見て、腹が立ったな。 まず、最初にフリーの藤春にパスを出さなかった消極性、藤春への質の悪いパス、2度のミスを続けて犯した。 前に進めず、後ろに下がるプレーを選択したのだ。 相手にプレスを掛けてくださいと言わんばかりの。 このプレーがヨンゴォンのミスを誘発した、可哀想すぎる。
このプレーを見て、矢島はボランチ失格だなと思った。 ビルドアップのセンスがない。
どうやら、セジョンは司令塔タイプのようなので(井手口がザ・ボランチと言っていた)、ボランチでは厳しいだろうな。
疲れたので、後半戦は次の機会に。