ピケティが面白い。

 「21世紀の資本」で超有名になった経済学者ピケティが、今来日していて、大人気になっている。
資産格差を問題として取り上げているとは、聞いていたけど、そんなことはマルクスの昔から言われていたことで、今さら何だ、という感じで、興味がなかった。
しかし、この前TVで論じられていた時、「資産格差なんて私も言っていたわよ」、という意見に対して、「ピケティは初めて過去300年分のデータをまとめて証明したんですよ。そこが誰もやったことがなくて、新しいんです。」という意見を聞いて、「ほお、それは凄いかも」と思い、興味を持った。

但し、700ページもある本らしくて、6000円ぐらいするので、とてもじゃないが、そんな分厚い高い経済書なんて読む気も買う気にもなれない。
と思っていたら、図書館で、週刊東洋経済 1/31号 がピケティを特集しているのを見つけて、読んでみたけど、実に面白かった。

 数値データ満載なので、わかりやすくて、説得力があって、興味深い。
結論は、実に明快。
株・不動産・債権等への投資による資本収益率rは、経済成長率gを常に上回る、という歴史的事実があり、このr>g という関係により、投資資本を持つ富裕層がさらに富を蓄積するので、格差が益々広がる、というものである。
わかりやすくいうと、金持ちが財産を増やす率rが、財産を持たない労働者の所得の増分率gを常に上回るので、格差が広がる、ということである。
データによれば、資本収益率rは、過去常に4~5%にあった。
それに対して、経済成長率gは、1~4%で変動していて、現在下降中である。

 こんなデータをグラフで見せられれば、一目瞭然、納得する。
そしたら、格差は昔からずっと広がり続けているのかというと、そうではなくて、18世紀(王侯・貴族・富裕商人の時代)が格差が一番激しかったが、2度の世界大戦で格差が激減。その後、格差は徐々に広がり、近年右肩上がりに広がっている、という状況である。

 凄いデータである。
過去の数値データを拾い集めて、こんなデータにまとめあげる。
素晴らしい研究だと思う。
欧米だから、こんなにデータが残っているんだろうね。
日本も明治以降なら、okだし、江戸時代でもイケてるかもしれない。

 それにしても、こんなわかりやすいデータを見せられれば、世間は反応するよ。
格差が世界で最も激しい米国が、真っ先に反応したのが、納得できる。

まだまだ面白いデータが紹介されているのだが、次回に。

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