今や大人気の経済学者ピケティの「21世紀の資本」、その中身の紹介を昨日に続いて、その第二弾。
昨日は、結論について書いた。 それは、
株・不動産・債権等への投資による資本収益率rは、経済成長率gを常に上回る、という歴史的事実がある。
わかりやすくいうと、金持ちが財産を増やす率rが、財産を持たない労働者の所得の増分率gを常に上回るので、格差が広がる、ということである。
さて、格差がどれくらいあるのかと言うと、
米国は、上位0.1%が、国民所得の約8%を取り、上位1%だと、約20%を取っている。
これは、凄い数字だ。
他国の上位0.1%の所得シェアは、英国とカナダが5%前後、ドイツが4%、オーストラリアが3%、フランス・スェーデン・日本が2%程度である。
上位1%の所得シェアは、ドイツが13%、日本が10%、スェーデンが7%程度である。
日本は格差が小さくて、少し安心した。
フランスやスェーデンも小さいのが意外だった。
さて、これらの数字もまだピンとこないと思う。
ピンとくるのが、このデータ。
階層別所得(課税控除前グロス年収)
階層 日本 米国 スウェーデン
上位0.1% 3260万円 1億8285万円 3741万円
上位1% 1279万円 4385万円 1268万円
上位5% 750万円 1858万円 838万円
日本では、大企業の管理職なら、上位1%の階層に入るということ。
大企業正社員なら、上位5%だ。
えっ、という感じだが、そういうものかも知れない。
次に面白いのは、日本の富裕層の変化だね。
日本の上位1%の所得シェアは、今は10%だが、戦前は、米国なみの18%もあった、というのが驚き。
そして、その収益源が、不動産所得+配当所得+利子所得が収益の半分近くを占めていた。
これは、完全な格差社会だ。
戦争が、それをぶっ壊してくれた。
今の富裕層は、給与所得がほとんどを占めているので、健全だ。
続く。