藤井聡太四段、打ち歩詰めでの凌ぎに踏み込んで勝つ。 羽生3冠の後継者誕生。

 藤井聡太四段が、29連勝の新記録を打ち立てて後、負けた後の1戦。
順位戦C級2組 3間飛車の使い手のベテラン中田功七段との対戦があった。
ベテランで、3間飛車のスペシャリスト、しかも穴熊退治の名手、如何にも面白そうだった。
abemaTVとニコ生の両方で見ていた。 しかも、羽生3冠の棋聖戦もあったから、3つを代わる代わる見ていた。
午後からは、藤井・中田戦ばかり見ていたけどね。 羽生ファンにも拘わらず。
そして、名局になった。

 藤井四段は、3間飛車対策を立てていたようで、序盤うまく指して優勢になっているように思えた。
しかし、さすがスペシャリスト、うまく左桂を捌いて、若干良くなったように見えた。
そして、この場面、

先手:藤井、後手:中田。

 8六の桂を▲7四桂と跳ねた。
8六の桂は、相手に打たれると詰まされるために打った桂だった。
だから、動けない桂馬だった。
解説では、動けないから不評だったが、自分は最後詰めの段階で跳ねるような気がしていた。
この時点で跳ねるのは時期尚早で、打ち歩詰めでぎりぎり助かっている筋に入るため、いくら何でもこんな危険極まりない手は指さないだろうという解説だった。
しかし、藤井四段は踏み込んだ。
打ち歩詰めの筋とは、△9八歩、▲9八同玉、△8六桂打つ、▲9九玉、△9八歩打つ、だ。
打ち歩詰めと言っても、中田功七段の手駒は、角・桂・歩で、歩以外の前に進める駒が手に入れば、勝ちの状況になる。
しかも、2,3手で勝てる状況ならプロなら指せるが、しばらくは詰まない状況が続く。
これを、大丈夫と読んで、しかもその自分の読みを信じて、指せることが凄い。
昔、竜王戦の渡辺・羽生戦で、羽生さんが詰ましにかかったら、ぎりぎり渡辺玉が打ち歩詰めで助かっている状況になり大逆転して、渡辺竜王が奇跡の勝ちを拾ったことがあった。
そのように、気付いたら打ち歩詰めで助かったという状況はあるが、わざと自分から打ち歩詰めの筋に入り込んで、凌ぐというのは、見たことがない。
凄い手だった。

 この後、中田七段に痛恨のミスが出て、負けになった。
負けと言っても、中田七段の攻めが続き、受け損なうと負ける状況だったのだが、ミスなく受けて、最後相手玉を見事に詰ませた。
面白くて、スリリングで、感動ものの将棋だった。
魅せる将棋。 羽生さん以来の強くて魅せる将棋だよ。
しかも、相手の得意戦法に入り込んでの勝ち。
羽生3冠と一緒。
正真正銘の羽生3冠の後継者誕生だよ。

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