藤井聡太七段、AbemaTVトーナメントで優勝する。

 藤井聡太七段がAbemaTVトーナメントで優勝した。
公式戦ではないので、それほど大した話ではないのだが、面白いルールだったので、一言。

 ルールは、羽生善治竜王の着想から作られた、持ち時間が増減する「AbemaTVルール」。
・持ち時間5分で開始し、1手指すごとに5秒が加算、持ち時間が切れると負けとなるフィッシャールールを採用。
・三番勝負で、先後入れ替えて、指し、2番勝った方が勝ちあがる。

 1対局が約30分で終わるのと、スピーディーな展開が見所で、見ていてとても面白かった。
勝敗を決するのに3局やっても、1時間半で終わる。 NHK杯と同じ時間かあ。
1手5秒以内に指すので、兎に角スピーディ。 だるさがない。
最近、将棋を見ていて感じるのは、やたらに考えている時間が長いこと。
特に、序盤考えずに指して、終盤に長い時間を残す指し方が将棋の主流になっている。
だから、最後秒読みの中での緊迫した戦いが見られなくなった。
そこが、詰まらない。
序盤に時間が要らないんだったら、持ち時間を短くしろよ、と言いたくなる。
秒読みの中での緊迫した戦いが、将棋の大きな醍醐味だったのに、それが見れないんだから。
将棋が強い将棋ソフトの登場で変わってしまったのだ。
将棋ソフトの登場で、ある場面での正解手が判明してしまった。
人間だけが考えている限り、正解手は永遠に謎なので、序盤から考える必要があった。
今は、ソフトで研究して何が正解手か分かっているので、序盤に考える必要がない。
事前に研究してさえいれば。
中終盤から考えれば良い。
現代の将棋では、序盤の考慮時間が不要になったので、その分、持ち時間を減らした方がいいと思う。
解説も、色々な手を解説しても時間が余ってしまうので、雑談をして場を持たしている。
それはそれで面白いのだが、いつか飽きられると思う。
以前は、解説を聞きながら将棋を見ていたのだが、段々ずっと見なくなった。
勝負所や面白い場面が見れたら、いいという感じだ。

 そう感じていただけに、このフィッシャールールがとても新鮮で面白く感じられた。
1手のミスで逆転、それが起きやすいから、見ていてハラハラする。
実力より運の作用する確率が大きくなる勝負とも言える。
そこは不満なので、3番勝負にして、実力がより反映するように工夫している。
「1手指すごとに5秒が加算」は、ちょっと忙しないし、解説が入る余地が少なすぎるので、「1手指すごとに10秒が加算」ぐらいが、丁度いいんじゃないかと思うんだが、どうだろう。
やってみて欲しいな。

 このフィッシャールールで全棋士参加の公式大会をやって欲しいな。
将棋の持ち時間を時代に合った物に変えるいい機会になると思う。
そして、より手が見える人、閃く才能がある人が有利になるルールだと思うので、新たな棋士が脚光を浴びる可能性があるのも面白い。
同じような棋戦ばかりやっても、しょうがない。 いろいろなルールでやらないと。
このフィッシャールールは、棋士に刺激を与えたんじゃないかなあ。

 さて、肝心のトーナメントは、藤井聡太七段が佐々木勇気六段にに初戦逆転負けをした後、2連勝して、優勝した。
強かった。
特に逆転負けした初戦が印象深かった。 佐々木勇気六段が研究手を放って、藤井七段が困っているように見えたんだが、攻められている箇所を玉で受けるという手を指して、優位に立った。 あんな短い時間で、相手の研究手に対応したのが、驚き。 その後、逆転を喰らったけど、そんなことより、そこに強さを感じた。
初戦も内容で勝ったようなものなので、3連勝したぐらいの印象だった。
強いね。 さすがに若手有利なルールではあるけど、相手も才気煥発な若手だからねえ。

 最近、藤井聡太七段の将棋を見ていて、序盤からじっくり時間を使って考えて指している。
時流に反する指し方。 王道の指し方だな。 まあ、高校生で研究する時間が少ないというのもあるんだろうが。
そして、じっくり考えた上で指した手が、じつに渋い受けの手だったり、攻めると思っていたら、引き下がる手だったりする。
慎重居士なのだ。
派手な手が少なくなったので、そこが見ていて面白くない。
終盤の詰み手前辺りは、凄く面白いので、まだ見るんだけど。
このAbemaTVトーナメントでは、才気煥発な藤井聡太が見れて、面白かった。

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