藤井聡太四段のインタビュー、「流動性知能」に驚く。

 藤井聡太四段のインタビュー 「夏、十四歳の声」を読んだ。

 印象に残る言葉が多々あった。

 「もちろん、おそらく勝ちだろうけど、本当に勝ちかどうかは分からないという状況であれば、長引いても確実に勝つ順の方がいいと思います。将棋の局面評価は究極的には1か0かマイナス1の3つしかないので、いくら形勢が縮まったように見えても、ずっと1(の局面)を保っていれば問題ない、ということはあると思います」
こういう考え方は、初めて聞いた。
リードしていて、形勢が縮まっても、そこまで気にしないと。 ふつう慌てそうなものだけど、慌てないということだね。 こういう考え方なら、逆転されることも少ないかもしれない。
14歳にして、この考え方というのに驚く。 普通、百戦錬磨の人が持てるような考え方だと思うんだが。

——例えば「十年後の自分」といったイメージも描いているのでしょうか。
「十年後は24歳ですから、実力としてはピークにいるときだと思います。羽生先生も25歳で七冠を達成されていらっしゃいます。どれくらい強くなっているのか、どのような景色が見えているのか……強くならなきゃいけないと思います」

24歳がピークだと考えている。 恐るべき14歳だな。
羽生3冠は、25歳の自分より今の方が将棋のことがよくわかっているけど、勝負したらわかりません、と自著に書いている。 今を生きる羽生3冠としては、進歩していると思いたいし、これからも進歩していくつもりだろうけど、藤井四段は、バッサリだな。 勿論、24歳が未来だから言えるんだろうけど。
それにしても、14歳にして、この将来への見通しは何なんだと思う。 なんで、こんなにはっきり言えるんだろう。 恐るべし。 天才の確信という奴かな。

——進学については。
「高校は15歳から18歳の3年間になりますけど、18歳から25歳が流動性知能(注:思考力・計算力などを指す知能で、対する概念として経験を基とする結晶性知能がある)のピークのようで大事な時期なので、難しい選択になるかなと思います」

”流動性知能”こんな言葉は初めて聞いた。 これには、びっくりしたよ。
こんな言葉が、さらっと出るんだ。
阪大の大学院の哲学科を卒業した糸谷哲郎 八段なら、宜なるかなと思うが、14歳が使う言葉じゃない。 気取ってるわけじゃ勿論ないし。

 しかし、24歳が実力としてはピークと18歳から25歳が流動性知能のピークというような発言を聞くと、高校には行かないような気がする。
14歳にして生き急いでいるような感じがする。 そこには、羽生越えという目標があるのかもしれない。
長い棋士人生という視点で考えれば、高校ぐらいは行っておいた方が良いと考えそうな物。
羽生3冠も長い棋士人生という言葉を何度も本で書いている。
羽生3冠も高校には行っている。 とはいっても、対戦で忙しくて出席日数が足りず、結局、通信制を卒業したみたいだけど。 
高校に行くのが、将棋界にいて色々な人に出会うよりも世界が広がるかと言えば、そんなことはないと思う。 
自分は高校で何をしたかというと、勉強と部活と人付き合い。
こういうことは、藤井四段には必要ないだろう。 人付き合いは、棋士になっても当然あるんだし。
まあ、棋士以外の人と付き合うべきとは思うけど。 棋士は全員ライバルという関係にあるからねえ。

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