「100年予測」を読む。 世界は変わる。

 ジョージ・フリードマンの「100年予測」を読んだ。
これは、とても面白くて、興味深い本である。

 著者は、「影のCIA」の異名を持つ民間情報機関「ストラトフォー」の創設者。
2009年発行で、今後の100年の世界情勢を予測した本です。
主に、地政学の観点から予測しており、現在の平和を求める人々の風潮とは異なった、極めてリアリスティックな、戦争は必ず起こる、という視点が強く出ている。

 それによると、今後、ロシア・中国・西欧は衰退し、地政学的観点から、日本・トルコ・ポーランドが勃興すると予測している。
そして、日本が、アメリカに不意打ちで宇宙戦争を仕掛け、一時勝勢になるが、アメリカに巻き返され、敗れると言う。
まるで、太平洋戦争でのハワイ急襲とその後の経過と同じじゃないかと、突っ込みたくなる内容である。

 その後、アメリカの優位は益々不動のものとなるが、そこにメキシコが台頭してくる。
アメリカは、大量のメキシコ移民を受け入れる。
メキシコ移民は、従来のアメリカに溶け込んだ移民とは異なり、母国が隣接するために、メキシコがアメリカに侵入してきたような形になってしまい、混迷の事態を迎えるという結末である。
アメリカは、対外戦争には、圧倒的に強いが、対内戦争には苦しむという。
そこで本は終わり、その後、どうなるかは触れていない。

 大胆すぎて、俄かに頷けない予測だが、説得力がある。
十分、そうなりうる、とも思う。

 日本が、敗戦の経験から平和を維持しようと我慢し続けるが、資源獲得と労働力不足から、結局は中国やロシアに乗り出していくという、話も理解はできる。
しかし、自分は日本はメタンハイドレードなど海洋資源の開発に資本を投入、成功して、その危機を乗り越える可能性は、十分あるとも思うけど。
この著者は、ハンガリーからのユダヤ移民なので、真に実力のある日本を警戒していて、それをアメリカ国民に訴えておこうという下心があるのだと思う。
 日本人としては、アメリカとの対決だけは、どんなことがあっても避けるべきだと思うよ。

 あと、メキシコの話は、非常に頷けるのである。
著者は、結論を書かなかったけど、移民国家アメリカは、実質メキシコ移民に南西部を乗っ取られる可能性は十分あると思う。

 そして、根底に有る、著者の、世界は必ず変わる、という思いに同感する。
自分は50台だが、確かに世の中大きく変わった。
戦後直後世代ほどではないと思うが、冷静に振り返ると、世の中大きく変わったと思う。

 パソコン、携帯電話、インターネットと、なかった物が出現して、いまや世界の中心にある。
政治も、ソ連崩壊、ベルリンの壁崩壊と、いつまでも続くと思っていたものが、あっけなく崩壊した。
それもわずかここ30年以内の話である。

 普通に暮らしていると、このままの生活が続いていくような気分になるのだが、今後も大きく変わっていくと思う。
リタイアしたので、変わっていく空気を感じ取れない恐れがあるが、時間は十分あるので、ネットで注視していこう。
オススメの本である。

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