大和文華館に「蘇州の見る夢」―明・清時代の都市と絵画―を見に行った。
中国の明・清時代の水墨画を集めた展覧会。
ここは展示スペースが小じんまりとしているので、作品数は68点と少ない。
★「蘭竹図」雪窓
ひるがえる蘭の葉の曲線が何とも美しい。
雪窓は、蘭の名手だそうだ。
★「四万山水図」文伯仁
一目見て、これはどっかで見たことあるな、と思った。
東京国立博物館だ。
何かの特別展を見た後、常設コーナーで見て感動したのだった。
4幅からなる。
「万竿烟雨」川の両岸に竹が並んで生えている。川の遠近感がとてもいい。
何とも言えない郷愁に誘われる。
「万壑松風」渓谷に松があちこちに生えている。
手前の松ほど迫力が増す。
「万頃晴波」一転、白い海。
「万山飛雪」雪山の美しさ。
いずれも、墨の黒で白が美しく浮かびあがる絵だった。
★「竹裡泉声図」李士達
丸みを帯びた岩山、鉤勒雲、その下に異様な竹の葉の群がり、さらに下の狭い範囲に道士達が座っている。 異色の水墨画。
★「秋景山水図」李士達
同じく李士達の水墨だが、こちらは一転淡い山水。
ほんのり朱を入れていて、美しい。
険しくも穏やかな山の断崖を目の前にして、峡谷を挟んで、岩の上に東屋がある。
そこで文人が風流をめでている。
友が訪ねる道が東屋に続いている。
霧が峡谷にかかっている。
これぞ、正統で上等の山水。
★「越中真景図冊」張宏
旅で越の名勝を見たまま描いた絵。
これが見たままなら、驚きの美しさ。
橋の図がいいねえ。 帆をあげた舟を上から見た絵もいい。
★「清明上河図巻」趙浙筆
農村風景。
ぼやっとした緑の木々が並ぶのが、なかなか美しい。
点在する人や牛。 のどかな美しさ。
明代の水墨画は良かったが、清代のはイマイチだった。
まあまあの展覧会だったかな。