滋賀近美30年の至宝展  ~滋賀県立近代美術館~

 滋賀県立近代美術館で「滋賀近美30年の至宝展」を見てきた。
滋賀県立近代美術館は、《日本美術院を中心とした近代の日本画》《郷土滋賀県ゆかりの美術》《戦後アメリカと日本を中心とした現代美術》の3本柱で作品の収集を重ねてきた。
その収蔵品の中から、計54点の名品を厳選した展覧会。

 無料公開というのがいいね。
わずか1週間ほどの期間だけど。

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この美術館には、年1回ぐらい来るかな。
最近はイマイチだけど、昔はいい展覧会をよくやってた。

下村 観山の「鵜鴎図」
飛沫飛び散る波の躍動感とどっしりとした丸い岩との対比が面白い。
観山は、堂々とした絵が多く、大観よりずっといい。

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★菱田 春草の「落葉」
重文の六曲一双の「落葉」が有名だけど、その一部分の下絵とも思われるこの作品も、十分楽しめる。

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★速水 御舟の「洛北修学院村」
群青色で染めた、比叡山とその麓の村を描いた、妖しげな雰囲気をもつ素晴らしい作品。
草原の部分を縦線で、樹木の枝葉を横線で描くなどで、微かにリズムを出す等、細かな工夫が気になる。

★速水 御舟の「菊花図」
緑の葉を黒く、菊の花を黒の輪郭線を強調して描いているので、グロテスクな印象を与える。
有名な「舞子」と同様で、異質な感覚を有する画家だな、と思う。

★小茂田 青樹の「四季草花図 冬季・夏季」
雪のナンテン、秋の朝顔と古典的な美しさを持つ6曲1双の屏風。
素直に美しいと思う。

★茨木 杉風の「近江八景図」
琵琶湖の名所を一つの屏風に全部描いている。
けど、いやみがない。 そこがいい。 どこか、おおらか。
波の横線が、画面にリズムを与えている。

池田 遙邨の「江州日吉神社」
とても美しい作品。 好きだな。
桜咲く山の上から見た景色を描いた作品。
花が咲く桜の枝を前景に大きく画面を横切らせて、青い琵琶湖、薄黒い山々、緑なす川辺、その色合いがなんともいい。
爽やかな春を感じさせてくれる。

三橋 節子の「近江昔話 雷獣」
暗いマチエール。
そこに浮かぶ、白い子供達と月。
そして茶色い狼のような雷獣。
節子が愛する雑草も白く描かれている。
幻想的な、心に響く作品。

三橋 節子は、名も無き雑草が好きで、描き続けてきた画家。
ガンで右手を失いながら、その後は、左手で描いた、執念の画家。
画家のそういう思いというのは、どこか絵の中に秘められていて、観る方は、無意識に惹きつけられるのだと思う。

島戸 繁の「真昼の漁港」
無名の画家。
印象派を思わせる、いい絵。
ごちゃごちゃと小舟が浮かんでいるが、白い帆が、画面を引き締めている。

アーシル・ゴーキーの「無題(バージニア風景)」
こういう何を描いているかわからない現代的な絵は、好きでないのだが、この絵は気になる。
さらっと見て通り過ぎる現代美術のコーナーだが、この絵の前では、止まった。
何も説明できないが、色と形の組み合わせが、絵好きの無意識下に訴える物があるのだろう。

 厳選した作品群というだけあって、見ごたえがあった。
無料だし、おすすめ。

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