国立国際美術館で「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展を見てきた。
14世紀から18世紀にかけてのヴェネツィア絵画を中心に、約2,000を数える充実したコレクションを有するアカデミア美術館の本邦初の展覧会。
選りすぐられた約60点の名画によって、15世紀から17世紀初頭にいたるヴェネツィア・ルネサンス絵画の展開を一望します、とのこと。
少ないようだけど、いい絵が来ていた。
特に、ティツィアーノの《受胎告知》、これだけでも見に来る価値がある。
15世紀後半、ヴェネツィア初期ルネサンス。
ルネサンス黎明期の絵は野性味があるけど品もあって、味がある。
★ボニファーチョ・ヴェロネーゼ 「父なる神のサン・マルコ広場への顕現」
サン・マルコ広場の頭上で神が手を広げている。
原始的な力強さを感じる。 少しウィリアム・ブレイクを連想した。
★ティツィアーノ・ヴェチェッリオと工房 「ヴィーナス」
品があって艶がある。
ティツィアーノは違うね。 抜けている。
★ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 「受胎告知」
この絵が飾られた部屋の前の部屋からアーチ状の空間の仕切りを通して、この絵を見ることができた。
なんという荘厳さ。
これだけ巨大な絵だと十分離れて見ないとダメだ。
アーチ状の空間の仕切りを設けることで、教会的雰囲気を出すのにも成功している。
ちょっとした工夫だけど、素晴らしい演出と褒めたい。
これによって、この絵の荘厳さを堪能することができた。
この絵の特徴は、大勢の天使にもガブリエルにもマリアでさえも、動きがあるということだ。
色も動きが感じられるような色使いだ。
それが、この絵をダイナミックな物にしている。
ティツィアーノにしては、珍しい。
エル・グレコが影響を受けていそうだ。
ヤコポ・ティントレットの絵は、期待してたんだけど、イマイチだった。
一級品は来てなかったのかな。
パオロ・ヴェロネーゼの絵は、評価していない。
「羊飼いの礼拝」など、近くで個別に顔を見ていくと、うまいな、と思うのだけど、離れて全体をみると、ゴチャゴチャしていて良くない。
華やかな色彩だけど、ゴチャゴチャしているという印象を否めない。
そして、ヤコポ・バッサーノ。 この画家が今回の発見。
この画家の名前は知らなかった。
普通のヴェネツィア絵画とは違って、独得な画風。
画面が暗い絵が多い。
★ヤコポ・バッサーノ 「悔悛する聖ヒエロニムスと天上に顕れる聖母子」
この絵が良かった。
聖ヒエロニムスの力強い肉体。
荒涼とした風景。
その上空に光と共に聖母子が浮かんでいる。
全体が調和していて、力強い。
ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノの後の画家達の絵は死んでいる。 ダメだ。
肖像画は良かったかな。
特に、ティントレットのが。