神奈川県立歴史博物館の「没後100年 五姓田義松」展の感想の続きです。
前回は、第一章の鉛筆画・水彩画のコーナーについて。
今回は、第二章の油彩画について。
第三章が家族/自画像なので、それ以外の油彩画について。
油彩画は、がっかりした。
第一章の鉛筆画・水彩画が良かっただけに。
富士山が描かれた油絵が多かったのだが、どれも良くない。
絵ハガキみたいな絵になってるんだなあ。
なぜ、こうなるのかと今考えていると、色を扱う能力が低いのかも知れないと、思った。
水彩の淡い色彩を扱うのはうまいのだが、どぎつい油彩の色使いが下手なのだ。多分。
というか、原色をあまり使っていない。
しかし、肖像画に見るべき絵があった。
「浅田夫妻像」
とてもシックな肖像画。
欧州に負けないレベル。 これには驚いた。
芯の強そうな、愛想のなさそうな妻、頑固そうな親爺、性格も感じ取れる肖像画。
バックの処理も見事だし。
第二章の油彩画のコーナーでは、イマイチな油彩画が多くて、がっかりしていた。
フランスから帰国してなぜダメになったんだろうと思いながら、絵をみていたら、「浅田夫妻像」のような傑作に出会う。
なぜ、こういうことになるのか、不思議だ。
洋画黎明期の悲劇なのか?
黒田清輝も晩年になってやっと油彩画らしい油彩画を描くようになったからなあ(こちら)。
続く。