「雪村」展  ~一味違う~ *MIHO MUSEUM

 MIHO MUSEUMで「雪村―奇想の誕生」展を見てきた。

 雪村は、室町時代後期から戦国時代にかけて、東国で活躍した画僧(生没年不明 1490 前後-1573 以降)。 雪舟の次の時代の人。 常陸国(茨城県常陸大宮市)の武家・佐竹氏の一族に生まれ、幼くして禅寺に出家した。
 雪村の描く人物画や山水画は、伝統的な様式をはみ出して、破天荒でドラマティックなものが多く、若冲、蕭白、芦雪、国芳などに評される「奇想」の端緒を、雪村に位置付ける所以はここにある。
 本展覧会は、海外からの里帰り作品を含む雪村の主要作品約80件と、過去最大規模の回顧展。

 後半、障壁画の大作が並ぶ様は、圧巻だった。
京博が毎年のように開催する日本の画家の大回顧展に比べることはできないが、それに次ぐ規模の展覧会で、とても見応えがあった。


美術館の窓の外の風景。 この美術館は山の中にある。
こんな所にも中国人観光客が一杯いるのに驚く。

 常陸時代は、オーソドックスで、まあまあという感じ。

 小田原・鎌倉時代は、ぐっと良くなってきて、「琴高仙人・群仙図」はいいね。

飛び跳ねる鯉に仙人が乗っている図が有名だけど、衣の表現が素晴らしい。
上着の輪郭線が濃く太くて、方やズボンの輪郭線が薄い。
このコントラストが秀逸。
描き込まれている顔の表現も独特だ。

 奥州滞在時代に素晴らしい大作が生まれてくる。
《呂洞賓図》 は、素晴らしい。 大和文華館でも、京都国立博物館の「禅」展でも見たことがある。
「松鷹図」、水墨に関わらず、羽毛がものすごくリアル。 照明の当て方もあるかもしれないが、神々しさまで漂ってくる名品だ。 ちょっと違和感を感じたのだが、雪村の作品でない可能性もあるみたいだ。
ミネアポリス美術館の「花鳥図屏風」、月夜に大きな鯉が二匹。
周囲には、鷺と燕が多数描かれている、普通でない感じがする。
郡山美術館の「四季山水図屏風」、これは傑作。
等伯の「松林図屏風」を少し思わせる、けぶる山水。 滝の左の山塊がいいなあ。

 身近なものへの眼差し。
これら花鳥の小品を見ていると、精緻な絵もあり等で、雪村の画技の豊かさを感じる。
「野菜香魚図」は、写実な鮎と省略の利いた野菜の併置が、不思議な感じを醸し出している。

 三春時代、自在に絵を描いている。 円熟期だ。
★雪村 「猿猴図」

これは、第3期展示で見れなかったが、ポストカードを買った。

「金山寺図屏風」、少し茶色で着色していて、細密に描き込まれているので、濃密で重厚な印象を与えてくる絵。 クロス線を繰り返して描いて、波を表現している所とか面白い。
栃木県立博物館の「山水図屏風」、立体的にどういう構造になっているのか、破綻していて、不思議な絵になってる。

 信楽の山奥にある美術館で遠いが、雪村は間違いなく日本を代表する画家の一人で、しかも大回顧展なので、オススメ。

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