あべのハルカス美術館で、昔も今も、こんぴらさん。~金刀比羅宮のたからもの ~ を見て来た。
金刀比羅宮は、その歴史を物語る数多くの奉納品に加え、自ら文化の育成と発信に努めてきた同宮には、重要文化財を含め3000点を超える文化財が所蔵されています。
そのなかから、絵画、彫刻、民俗資料など43件(約120点)を選りすぐってご紹介します、とのこと。
昔、こんぴらさんには行ったことがあって、その建屋や宝物館で、絵画は随分見た。
円山応挙とか高橋由一とか。
金刀比羅宮に、高橋由一の絵が多くあって驚いた。
なぜかは、知らないけど。
高橋由一は「鮭」が有名だけど、それに匹敵するような絵はなくて、がっかりした。
今回も、それを再確認した。
★「象頭山社頭並大祭行列図屏風」 伝狩野清信
渋い、いい絵。
★「木造十一面観音立像」
平安時代の作。 随分古い。
顔はとってつけたようで、好かないのだが、顔から下に何とも言えない優美で確かな存在感がある。
★「弁才天十五童子像」 伝巨勢金岡
室町時代の作。 これも随分古い。
良さげなのだが、劣化が激しいのが残念。
この巨勢金岡という画家の名は初めて聞いたけど、伝説の画家のようだ。
★「陵王図・桜樹太鼓図衝立」 岸岱
舞楽の蘭陵王の絵。
俵屋宗達 「舞楽図屏風」を見て以来、舞楽の絵が気になる。
★「花丸図」 伊藤若冲
楽しみにしていた絵。
こんぴらさんに行った時には、非公開だった。
その時、右下のひまわりの絵ハガキを見て、感動。
黄色をバックにした黄色のひまわりの美しさを、ゴッホ以前に若冲が発見していたのに、驚いたものだった。
それにしても、襖に花を図鑑のように描いている異様さ。
このぶっとんだセンス。
この襖3面に囲まれた部屋にいたら、どう感じるだろう。
居心地悪いだろうな。
ただ、若冲が描いた当時、白地で、後世の人が、金地にしたらしい。
金地と白地では大違い。
ちょっとショックだった。
★「富士山杉樹図屏風」 伝狩野永徳
さて、本展で一番驚いた作品。
杉の葉が松明のようにゆらゆらとゆれている。
その杉の向こうに、富士山が神秘的に聳えている。
何とも原始的な力を感じる絵だ。
さて、この作者は狩野永徳だろうか。
このような荒荒しい絵を狩野永徳の絵で見たことがない。
ただこれくらい凄みのある絵となってくると、狩野永徳しか描けないような気もする。
★「源氏物語図屏風」 伝土佐光元
蝶の羽をつけた舞い姿が描かれていた。
「桃山時代の狩野派」展の狩野派の「源氏物語図屏風」でも、翼を背負って舞っている人達の姿が描かれていて、とても気になっていた。
「源氏物語図屏風」では、蝶の羽や翼を背負って舞っている姿を描くのが、定番なのかな?
それだけ、宮廷では、舞楽が盛んだったということかなあ。
さて、本展、少し物足らなかったが、大作が3点あり、それがカバーしたという感じかな。
「遊虎図」と「花丸図」と「富士山杉樹図屏風」の3点。
さすがに歴史あるお寺だな、と感じた。