消化不良の「レオナルド・ダ・ヴィンチ — 天才の実像」展を見た後、「国立ロシア美術館展」を見た。写実的な数々の絵を見ていると、絵を見たなあという気分になれた。
マリア・フョードロヴナ大公女の「花」、稚拙な感じがするのだが、不思議に描きこまれた花と虫が幻想的な効果を出していて惹かれた。マクシム・ヴォロビヨフの「イサク大聖堂と青銅の騎士像」、写真みたいな絵だがロシアの晴れて澄んだ空気が描かれていて良かった。イヴァン・アイヴァゾフスキーの「月夜」、月夜に浮かぶ港の絵だが、素直に惹かれる。イヴァン・クラムスコイの「ソフィア・クラムスカヤの肖像」、アレクセイ・サヴラーソフの「早春」、ピョートル・スホデリスキーの「村の昼間」、イリヤ・レーピンの「ニコライ2世の肖像」、イヴァン・エンドグロフの「春の訪れ」、イヴァン・シーシキンの「冬」、どれも写実的な絵だが良かった。色の美しさや構図の面白さやではなく、どれもが、描かれている人や風景の美しさや魅力を引出していて、そこに惹かれるのだった。