小茂田青樹の「四季草花図 冬季・夏季」 池田遙邨の「江州日吉神社」
5か月ぶりのブログです。仕事が忙しくなって、書くのが面倒になってたけど、少しずつまた書いていこうと思う。
滋賀県立近代美術館で襖と屏風展を見た(2011/4/9)。館所蔵品のみでしかも屏風のみなので、しけた展覧会になる可能性もあったが、結構良かった。屏風の大画面は、迫力があって良い。離れて、部屋全体を見渡していると、壮観である。
中島来章の「十二カ月図」(江戸時代)、近づいて見ると、技量がない感じだが、離れて見ると、季節ごとの風情があって良い。紀楳亭の「春社図」、道行く人の表情が現代的にはっきりと表現されていて、気持ちがいい。南画的風情にあふれているな、と思って見ていたら、蕪村の高弟と書かれていて、なるほどという感じだ。同じく、紀楳亭の「高士羅浮仙図」、これがいい。漆黒の闇夜に、白い内掛けの美人が梅の曲がりくねった枝によりかかている。また高士風の男が同じく幹に寄りかかっている。梅の幹が濃い茶のため、闇夜に溶け込んでいて見分けにくいのが、少し不満である。しかし、解説に銀地に描かれていたのが、銀が黒くなったと書かれていたので、当初はどうだったのだろう。今より良かったのか悪かったのか、微妙なような気がする。漆黒の闇夜に浮かぶ美人も悪くない。下村観山の「鵜鴎図」、最初、白い波しぶきが気に入らなくて、通り過ぎようとして、作者を見ると、観山とある。よく見ると、白い波しぶきは気に入らないが、それ以外は実にいい。自からの不明を恥じる。近くで見ると、鵜鴎が一羽一羽描き分けられていて、素晴らしい。単純化された岩も良く、観山らしい堂々とした作品である。観山はいい。岡倉天心のもと、大観、観山、春草の三人が日本画の革新に取り組んだ。大観が一番有名だが、大観は気に入らない。どこがいいのか。しかし、観山と春草はいい。観山の堂々とした大画面、春草の繊細さ、それぞれに良い。菱田春草の「落葉」も展示されていた。完成作の下絵的な作品ではあるが、実にいい。省略と写生のバランスのとれた美しさがある。林に入った時の、静けさと美しさを感じることができる。小茂田青樹の「四季草花図 冬季・夏季」、アサガオの青が美しいし、雪を被る赤い実のなる木が実に美しい。速水御舟の「菊(菊花図)」、細密画が極まって、不気味なくらいである。そして、一番見たかったのが、池田遙邨の「江州日吉神社」である。癒し系の美に溢れた絵である。山上から見下ろした日吉神社の絵である。山上の桜の枝が左右から画面を横切っている。近づいて見ると、桜の花びらが風にたなびいている。繊細な美しさがある。琵琶湖の水色、桜の桃色、神社手前の緑の色彩の調和が美しい。