羽生王位、王位戦初戦を制す。 その感想戦が凄かった。

 7/8、第56期王位戦七番勝負第1局は、羽生王位が広瀬八段を破った。
この日は、株を買うつもりだったので(こちら)、株価の動きを見ながら、この対局も見ていた。
 先手、広瀬八段。 後手、羽生王位。
広瀬八段は、4間穴熊を指さなくなって、振り飛車党から居飛車党に変身しているらしい。
後手が誘導して、横歩取りの戦いになった。
序盤早々、前例から離れ、力戦模様となった。

 解説者によると、羽生やや優勢という、94手目、羽生王位が△8三同銀と成桂を取った局面。
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 先手は、攻めの足がかりがないので、▲6三角と打って、攻めるのかな。
一方、後手も5筋に飛車・歩が利いているとはいえ、手持ちにかな駒がないので、そう簡単には崩せない、と見える。 まあ、羽生王位なら何とかするのだろうけど、どうするのだろう?と。

 そして、▲6三角。
ここから、羽生王位の応対が見事で、▲6三の角をいじめて、▲1八馬と隅に追いやり、▲3九にいた角もいじめて奪って、投了に追い込んだ。
▲6三角以降は、羽生王位の完勝で、最初から羽生王位が少し優位を築いて、終盤突き放したかのように見えた。
羽生王位強し。 力に差ありと見えた。

 ところが、感想戦の記事を見て、凄い戦いだったことを知る。
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▲6三角に代えて▲8五歩△同歩▲6三角なら、先手がいいのでは、と感想戦で検討。
上図は、その途中図。
広瀬八段が、「うーん、こっち(先手)足りないですか、駄目ですか」と言う。
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ダメと言う結論図。
しかし、羽生王位が「まさかとは思うんですけど、不成、不成の筋は……」と呟く。
対して広瀬八段は、「あ、不成。そうか。そうかー」と何かを悟ったかのように返した。
二人が認識し合ったその順とは・・・・・・。
▲8四の銀が▲8三銀成、▲8二成銀と成るのがダメで、
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▲8四の銀が▲8三銀不成、▲8二銀不成と動くのが正解。
この銀の2度の「不成」だと、先手の勝ちという結論に。
こんなドラマチックな勝ちが実戦で指せるのは、没入した時の羽生さんだけだろう。
こういうのが、羽生マジックと言われるのだ。

 そして、この感想戦での結論後、羽生さんは
「「駄目だー」と大きな声を出しました。そして、「この将棋はこちらは54手目の△4四銀で、△3四飛として千日手を狙いに行くしかありませんでした」と本局の感想を述べると、
広瀬八段は、「▲6三角で▲8五歩とする順は、△同歩▲6三角△8四香のときの具体的な順が分からず断念しました」と返し、感想戦はお開きとなりました。
とさ。

 羽生さん、自分の序盤の方が悪かったと結論を出して、実に嬉しそうな笑顔を見せた。
本記事のアイキャッチ画像がそれ。
広瀬八段も、勝ち筋を見つけられなかったと、笑顔?。

 真剣勝負、そしてその後の研究で真理を究明、二人の満足そうな顔。
いい世界。
日本人しか無理。

詳細な棋譜は、上のリンクを見てください。

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