若い頃の羽生名人も、渡辺2冠みたいに、案外ズケズケ喋っていた。

 ちょっと面白い、谷川会長と羽生名人に関する記事を読んだので紹介。
まず、谷川会長が名人だった頃、中原挑戦者との対局について、自戦記を書いている。
これも驚きだけど。
近代将棋という雑誌で、自分の将棋の解説だけでなく、生活のエピソードも書いている。
今、渡辺2冠が、渡辺明ブログで、開放的に書いている記事に少し似ている。
渡辺2冠の素直な物言いが凄く好きなのだが、他の棋士も若かりし頃はそういう所があるのかもしれない。
これが、名人戦敗退後の、谷川名人(当時)のその文章。

 帰宅後、名人戦の衛星放送ビデオを見る。
 優勢な局面を築きながら、逆転負け。
「この局面、羽生君なら何分あれば勝てますか」と先崎四段。
「そうですね。20分」答える羽生竜王。
 みんな言ってくれるじゃないの。

これは、笑えた。
羽生さんが、こんなアケスケな本音を言ったのが、驚き。
強い自信が、思わず出ちゃったんだろうね。
今でも、これくらい、本音で喋ってくれると、面白いんだけど。

 一方、羽生、先崎が観戦記を書いている。
どんだけ、面白い企画をやっているんだか。
先崎学四段(当時)の観戦記。

 現在の局面の周辺を一通り解説して、おれが言いたいほうだい言った(少し反省してます)あと、解説役として壇上に上がっている島が、前に座っているぼくたちに向って、
 「この局面から、君達が谷川名人の方を持って指したら、持ち時間が何分あったら勝てますか―?」
 と訊いた。

 「六時間あれば……」
 と、まず森内が答えた。これくらいに答えておけば無難である。この答は森内の謙虚な性格をよく表している。まあ本音かどうかは分からない。

 だが次の羽生は凄かった。
 「二十分あれば、80%は―」
 と、一言のもとに言った。このようなことを滅多に言わない彼のこの一言は、この将棋を葬りさるだけの迫力があった。終わったな、と思った。

 森内さんの「六時間あれば……」は、面白いねえ。
昔からちっとも変わらないんだ。
この森内さんの発言を聞いた上で、
羽生さんが「二十分あれば、80%は―」だからねえ。

羽生さんの観戦記。
 1勝1敗で迎えた第3局。
 この一局がシリーズの流れを決めるというのはワンパターンなので、少し付け加えると、この一局は中原棋聖にとっては絶対に落とせない一番。これを落とすと一昨年の名人戦と同じになりそうだから。
 谷川名人にとっては負けても次は主導権の握れる先手番だから中原棋聖よりは余裕があったと推察する。

こういう戦略的な考え方は、渡辺2冠が言いそうなんだが、羽生さんも昔はそうだったということかな。

感想戦にて
 もう一つは、谷川名人が何かはぐらかすような発言を一回しなかったこと。「入玉を必要以上に恐れたのではないですか?」
 の問いにも「ええ、それが私の悪い癖です」と答えていた。
 普通、こういった自分の弱点を棋士は絶対に口にしない。
 何か適当に誤魔化すものだが(棋士は特にそういったことに長けている)。

こういう物言いも、渡辺2冠が言いそうなんだが。
強い棋士たるもの、若かりし頃は、こういうものなのかな。
ということは、渡辺2冠も年をとれば、羽生名人みたいに文化人みたいになる?
さすがに、マンガやぬいぐるみ好きじゃ、無理か。
けど、会長にはなりそうな気がする。
楽しみ。

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