新・映像の世紀 「第3集 時代は独裁者を求めた」

 12/20にNHKで放送された新・映像の世紀 「第3集 時代は独裁者を求めた」を見た。
ヒトラーに焦点を当てていた。 そして彼にかかわった国や人々を。
初回の「第1集 第一次世界大戦 百年の悲劇はここから始まった」は、知らないことも多く勉強にな
ったが、今回もその衝撃映像が改めてショックだったし、知らないことが多かった。

 ヒトラーの経済政策は、素晴らしかった。
第1次大戦敗戦後、失業率30%越えの経済のどん底状態からドイツ国民を救った。
国民車構想を唱えて、若きポルシェを設計者に起用して、フォルクスワーゲン社を設立、大衆車ビートルを作った。
そして、世界初の高速道路網アウトバーンの建設にとりかかった。
これは、失業者対策であり、一人でも失業者を減らすために、あえて重機の使用を控えたというから徹底している。
週休2日、週40時間労働を唱え、今で言うワークシェアリングを実施、他にも社員食堂の設置を推進、様々な福利厚生施設も造られた。
ヒトラー政権後、5年で工業生産は2倍に、税収は3倍になった。

 これは凄い。
公共投資による失業者対策、ワークシェアリング、福利厚生の充実なんて、戦後だいぶ経ってからの産物だと思ってたけど、ヒトラーが戦前にやっていたとは。
これだと、ヒトラーが救世主だと思われたのも無理はない。
ヒトラーはあのちょび髭もあって、狂信的で馬鹿に見えるが、経済政策は本当にドイツ国民のことを考えた優れた物になっている。
当時これだけの経済政策を実施できたことは、天才的だと言っていいと思う。

 しかし、他の政策がめちゃくちゃだった。
ヒトラーの嘘つき外交は凄まじい物があった。
まずオーストリアを併合、チェコの一部の割譲を要求、これ以上領土を拡大しないとの英仏伊とのミュンヘン会議での約束を破って、チェコ全土を占領。
次に、独ソ不可侵条約を結んで、強敵との憂いを断つと、一気にポーランド、デンマーク、ノルウェー、オランダ、ベルギー、フランスを占領した。

 フランス占領下では、生活に困苦したフランス女性がドイツ人に近づき、10万人もの混血児が生まれたというから驚き。
これは、独仏関係に少なからぬ影響を与えていると思う。
今EUで独仏関係はとても良好だから。
フランス女性、ココ・シャネルがドイツのスパイになっていたことが、やけに強調されていたなあ。
 アメリカ企業がドイツに子会社設立を含めて、凄く投資していたので、ドイツとの戦争に反対していたのは、知らなかった。
フォードの社長、ヘンリー・フォードが反ユダヤ主義でヒトラーと同調していたし、リンドバーグもヒトラーを支援していた。

 その後、ドイツは、ソ連に侵攻するという暴挙に出る。
ヒトラーは、ユダヤ人と共産主義を2大敵と考えていたようだ。
ナポレオンがロシアに侵攻して冬将軍に敗れて痛手を負い、最後島国で無傷だったイギリスに叩かれるという史実を教訓にできていなかったようだ。

 そして、世界大戦という視点から見ると、日本の真珠湾攻撃が、大きな転機だったようだ。
これで、アメリカ人がドイツとの戦争を厭がっていたのに、一挙に参戦に傾いたようだ。
ドイツは、日独伊三国同盟に基づいて、アメリカに宣戦布告する。
ソ連と戦っているのに、アメリカにも宣戦布告するなんて、馬鹿の極みだろう。
独裁は行くとこまで行かないと止まらないのかも知れない。

 やがて、ドイツはソ連の反撃にあい、逆に攻め込まれる。
そして、米英がノルマンディから上陸してくる。
最後、ヒトラーは自殺して、終戦。
ヒトラーは死の直前こう言ったそうだ。
ナチズムは壊滅した。 私とともにその思想は消滅する。
だが100年後には、宗教のように新たなナチズムが誕生するだろう。
ナチズムのどこが思想なんだか、良くわからんが。
100年後と言えば、2045年。
欧州で右翼政権が誕生している可能性はあるかも知れない。

 それにしても、ナチスによるユダヤ人虐殺は惨い。
映像で見ると、何度見ても衝撃的である。
やせ細った死体が瓦礫みたいに山積みにされていた。
本当はもっと酷い映像もあるんだろうけど。

 連合軍が収容所の惨状をドイツ人に見学させる映像があった。
「知らなかったんだ」と叫ぶドイツ人。
収容所されていたユダヤ人が、「いいや、あなたたちは知っていた。」

 米国人には、原爆投下後の広島と長崎の映像を見てほしいね。
1時間はたっぷりと見てほしいもんだ。
「やむをえなかったんだ」と叫ぶアメリカ人。
「本当に? 心からそう思うの?」

スポンサーリンク
スポンサーリンク
「関連コンテンツとスポンサーリンク」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする