シンガポールと言えば、民主的で、何となくいいイメージを持っていた。
が、実はそうでもないことを知った。
シンガポールの1人当たりGDPは世界9位で、日本の約1.5倍。
貿易の要港に当たるので、それ関係で儲けているとしても、資源もないし、凄い産業があるとも思えないのに、何で儲けているのか不思議。
国家がエリートを育成している。
小学校卒業時に試験があって、そこで進学コースと普通コースに選別され、復活することはほとんどない。
その後、成績優秀者は、国家奨学生として海外のトップ校に留学して、帰国後は10年弱公務員として働いて、エリート官僚になる。
もっとも、公務員の給与はGDP連動制だから、なっても左団扇ではない所が素晴らしい。
そして、疑似独裁国家を作り上げている。
政党は、人民行動党による事実上の一党支配。
新聞は1社、テレビも国営1社で、要職には政府から派遣された人物が就く。
だから、国民はSNSで発信するのみ。
それさえも、「フェイクニュース法」を立法して、規制しようとしている。
そして、極めつけは、国内の街灯すべてに監視カメラを設置しようとしている。
完全な監視統制社会を築きあげようとしている。
そして、入国外国人も選別している。
日本人への知的労働のビザ発給も、国公立大学と一部私立大卒のみだけ。
シンガポールの労働者の3人に1人が外国人労働者で、その平均賃金はシンガポール人の20数%。
外国人に社会保障はなきに等しく、生活保護はもちろんない。
また家族の呼び寄せも原則できない。
徹底した使い捨てだな。
よくこれで、国際的に問題にならないものだ。
このシンガポールの繁栄を築き上げたのが、リー・クアンユー元首相。
人民行動党の創設者の一人。
英国統治時代のシンガポールの初代首相に就任、マレーシアと連邦して独立するが、マレーシアから切り離されて、分離独立、独立宣言して、初代首相に就任する。
歴戦の勇士のようだ。
しかし、
「人間の行動のほとんどは遺伝子によって決まる。政府の役割は優秀な人材を見極めること。エリートをいかに生み出すかにシンガポールの将来がかかっている」
「貧しい人々の健康水準を向上させること、標準的な健康水準を維持することさえ意味がない。一握りの超人をアップグレードすることに専心することの方が、はるかに賢明だ」
と語っている。
超エリート主義だね。
そして、長男が3代目首相になっている。 世襲に近いな。
色々調べると、面白い。
リー・クアンユーは、客家系華人の4世にあたるという。曽祖父のリー・ボクウェン(李沐文)は、1862年に清の広東省からイギリスの海峡植民地であったシンガポールに移民した。
客家とは、
原則漢民族であり、そのルーツを辿ると古代中国(周から春秋戦国時代)の中原や中国東北部の王族の末裔であることが多い。歴史上、戦乱から逃れるため中原から南へと移動、定住を繰り返していった。
主な居住地域は、中国広東省・福建省・江西省など山間部であり、在外華僑・華人としてタイ、マレーシア、シンガポールなどの東南アジア諸国に暮らす者も多く、華人の3分の1は客家人である。
移民の通例として土地の所有が困難であったために流通や商業に従事することが多く、子弟の教育にも熱心なことで知られる。商業の他には教育の高さから教職に就くことが多い。これらの特色から「中国のユダヤ人」などと呼ばれることもある。客家を含む華僑はユダヤ人・アルメニア人・印僑と共に「四大移民集団」の一つと言われる。
客家の多い地域に中国共産党が非常に強い影響力を持った為、客家には共産党勢に加わった者が多かった。
また伝統的な中国人の階級意識において卑しめられることの多かった軍人となった者や、反乱や革命に参加する者も近代以前から多い。
そのため、太平天国の指導者である洪秀全や、中国国民党の孫文、中国共産党の鄧小平やシンガポールのリー・クアンユーなどが輩出した。台湾総統の李登輝、蔡英文や映画監督の侯孝賢も出自は台湾に移住した客家であり、タイの首相を務めたタクシン・チナワット・インラック・シナワトラ兄妹も出自はタイに移住した客家である。
これは、凄い民族だな。
洪秀全・孫文・鄧小平・リー・クアンユー・李登輝・蔡英文・映画監督の侯孝賢・タイのタクシン首相も客家となると、芸術家・革命家・政治家と様々なジャンルの人物を輩出していることになる。
正に「中国のユダヤ人」だな。
この歴史的な境遇が人物を生み出したのか、民族のDNAなのか、わからないが、リー・クアンユー自身はDNAと思っているようだな。
何やかや、小国だから、問題とされていないが、いずれ欧米から人権が問われることがあるかもしれないなあ。