『NHKスペシャル』「人工知能・天使か悪魔か2017」を見た。
昨年放映された、羽生善治名人が番組ナビゲーターを担当した『NHKスペシャル』「天使か悪魔か 羽生善治・人工知能を探る」の続編だ。
佐藤天彦名人と将棋ソフトPONANZAが戦った将棋電王戦を導入部として、AIについて語られていく。
PONANZAが強くなったのは、プロ棋士の過去20年分の対局、計5万局を教師データとして読み込ませ、それに基づく機械学習を行い、勝利への方法を見つけていくことを行ってから。
さらには、PONANZA同士で自己対戦をやって、700万試合をやったそうだ。人間が1年で3000局対局したとしても、3000年かかる量。
これには笑ってしまった。 わかりやすい説明。 敵うはずがない。
人は何かをする時、そこにコツや法則を試行錯誤の中で見つけようとする。
AIは、それを圧倒的なスピードで回数をこなして、回答を見つけてしまうのだ。
これは、敵わないな。
羽生さんはこう言う。
「人工知能と棋士の対局は、未来社会の模擬実験的なことをやっているのではないかと思います。」
「人工知能と棋士の間で起きていることが、今後人工知能が社会で応用されていく時に起こることを先取りしているように思えるのです。」
さすが、羽生さん、言うことが違うねえ。
確かに、今プロ棋士達がうろたえているように、我々もうろたえるだろう。
今、藤井四段を始め、若手棋士達が必死にAIをうまく使いこなそうとしている。
さて、我々は?
今後、ノウハウ的な物は価値を失っていくだろう。
全て、AIに置き換わる。 AIをどう使うか?とAIを使うことを企画する能力が問われる社会になるんだろうな。
味気ない社会になりそうだ。
でも、スポーツとか人間を直に見るものは、生き残る気がする。
非人間的な物が溢れると、人間的な物が恋しくなるから。
AIは、驚異的なスピードで広がっていくだろうな。
パソコンが一挙に広がったように。
10年後には、会社員一人ひとりに、相棒のAIがついて、使うんだか使われるんだか、よくわからないような関係で、仕事を行っているかもしれないな。
パソコンが10年であっという間に、1人に1台になったんだから、あながちあり得ない話ではないと思う。
多くの人が職を失う危険性がある。
けど、人口減少していくんだから、丁度いい具合で折り合って、人口減少分の仕事をAIで補っていければ、うまく日本社会が回って行くかもしれない。
そうなると、いいんだが。
気になったのは、PONANZAの開発者が、自分でプログラムを書いているんだけど、なぜ強くなっているのか、わからなくなりつつある、と言っている所。
人工知能の思考がブラックボックスになっている。 答えを出すけれど、理由は示さない。
これは、そうだろうなと思う。 膨大なデータ処理から生まれる答えなので、理由はないと思う、そうなる確率が高いからとしか言いようがない。
もしかしたら、その理由を考えるのが、人間の仕事になるのかも知れないな。
AIの言うことに盲目的に従うのは、天邪鬼の人間には難しいことだから。
そうそう、番組の中で驚いたことがもう一つ。
アメリカでは、18歳以上の3人に1人が犯罪歴を持つ犯罪大国アメリカと紹介されていたことだ。
これには、びっくらこいた。 3人集まれば、1人は犯罪者なんて、やってられないだろう。
日本とは、真逆な社会だな。