山に登っていると、たまに面白いことに出会う。
5ヶ月くらい前の話である。
低山で山中まで道路が入っている山に登っていた。
なぜか、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
逃亡犯か何かが、山に逃げ込んで来ているんじゃないだろうなあ~、とふと思った。
尾根道を歩いていた。
鉄塔のある、開けた、見晴らしのよい尾根の先端に出た。
眺めを楽しんでいた。
向こうに市街が見える。
ふと、市街上空に赤い点が見えたと思うと、猛烈なスピードでこちらに向かってやってきた。
まっしぐらに、自分に向かって。
あっという間にやってきた。 ほんとにあっと言う間だ。
この写真では、赤いヘリコプターは小さく見えるが、かなり近づいてきた。
ライフルで撃たれるんじゃないかと思った。
おれは、犯人じゃないんだから、大丈夫と言い聞かせ、
平然としていたら、犯人と間違われないだろう、と思って、逃げずにヘリコプターを見ていた。
拡声器か何かで、呼びかけてほしいなと思っていたが、ヘリコプターは無言ですぐ上空をずっと旋回していて、離れない。
さすがに、心配になってきて、林の中にゆっくりと入っていった。
それでも、木々の上を、ヘリコプターがついてくる。
木越しに自分が見えるのだろう。
どんどんどんどん足早に歩いていくと、さすがにヘリコプターは、追って来なくなった。
一安心すると、今度は、逃げ込んできた殺人犯にでも、出くわすんじゃないかと、心配になってきた。
そうなると、ヤバイ。 まあ、出会い頭でなければ、逃げれ切れると思うが。
警戒しながら、下山していると、トランシーバーで緊迫した声で話しているおっさんが二人で登ってきた。
ほっとしていると、「男性が一人遭難したようなんですが、見かけませんでしたか」、と聞かれた。
そういうことですか。
それにしても、こんな低山で遭難する人がいますか~。
そして救助にヘリコプターがかけつけますか~。
それにしても、あの何とも言えない不安感は、いい経験になった。
そして、ヘリコプターのあの機動性は凄い。
尾根の上とは言え、山の中の自分をあっという間に見つけた。
戦争なら、瞬殺だ。 ヘリコプター恐るべし。