米国が、本気で中国通信企業を世界から締め出そうとしている。

 「カナダ司法省は5日、米当局の要請を受けて中国の通信機器最大手、ファーウェイ幹部を逮捕したと発表した。」

米上下両院は2018年8月、中国の通信大手のファーウェイとZTE、監視カメラ大手のハイクビジョン、ダーファ・テクノロジー、ハイテラの計5社への締め付けを大幅に強化することを盛り込んだ「2019年度米国防権限法(NDAA2019)」を超党派の賛成で可決。8月13日にトランプ大統領が署名し成立した。

同法は、19年8月13日以降、米政府機関(連邦政府、軍、独立行政組織、政府所有企業)が5社の製品(サーバー、パソコン、スマートフォンなど)や、5社が製造した部品を組み込む他社製品を調達することを禁止した。
5社以外でも「中国政府が所有・関係している」と米国防総省や連邦捜査局(FBI)などがみなす企業(今後発表予定)の通信機器の調達も禁止する。

さらに第2段階として、20年8月13日以降、5社の製品を社内で利用している世界中の企業を対象に、いかなる取引も米政府機関とはできなくする。米政府機関に収めている製品・サービスが通信機器とは一切関係のない企業であっても、社内で華為などの通信機器を持っているだけで米政府機関との取引から締め出される厳しい内容だ。

まだ実際の措置が始まるまでには1年以上の猶予期間があるが、企業が取引を続けたい場合には、問題視されている機器の利用を一切やめ、その旨を米政府に報告・誓約しなければならなくなる。」

 なんだ、これはという法律だ。
こんな法案が8月に成立していたのか。 日本で報道されていたっけ?
ファーウェイと取引している日本の企業は相当多い。 大企業も相当多いはず。 日本の官公庁も。
2020年までにファーウェイの製品を別の製品と取り換えなければならなくなった。
多大なコストだよ。

 何か、対共産圏輸出統制委員会(ココム)を連想させるなあ。
ココムは、冷戦期に資本主義諸国を中心に構成された、共産主義諸国への軍事技術・戦略物資の輸出規制(或いは禁輸)のための委員会。 1950年1月から活動開始。
東芝機械ココム違反事件が、有名。 これで、親会社の東芝の会長と社長が辞任した。
冷戦が終結しソ連が崩壊するとCOCOMの意義が薄れたため、1994年3月に解散した。
兵器輸出規制協定は後身のワッセナー協約に引き継がれた。

 しかし、この後、2001年9月11日アメリカにおいて起こった同時多発テロを経て、通常兵器、大量破壊兵器等に関する4つの国際的な輸出管理のためのレジーム(枠組み)があり、これらに基づく輸出管理は、「不拡散型輸出管理」と呼ばれている。
(1) 通常兵器の過剰な蓄積防止と汎用品の通常兵器転用防止
(2) 大量破壊兵器等の拡散防止
(3) キャッチオール規制
大量破壊兵器等の拡散防止を強化するため、国際的な枠組みの規制対象貨物・技術でなくとも、ある輸出貨物・提供技術が大量破壊兵器等の開発等に使用されることを輸出者が「知っている」または「知った」場合に、輸出許可申請を義務付ける方式の規制が導入されています。

 我が国としても国際的な責務を果たすため、2002年4月に従来の補完的輸出規制に替えて、キャッチオール規制を導入した。

 「輸出貿易管理令」という奴だ。
これで、会社での鬱陶しい書類仕事が飛躍的に増えた。
特に、導入された当初は、やり方がわからず、苦労したもんだった。
非生産的な仕事だったのもあって、苦痛以外の何物でもなかったなあ。

 さて、この「輸出貿易管理令」では、対象国が分類されている。
「ホワイト国」「非ホワイト国」「懸念国」「武器輸出禁止国」の4つ。

「ホワイト国」は、27カ国が該当し、基本的には先進国と言われる国々がホワイト国の対象になる。これらの国々へ輸出するときは、リスト規制の対象にはなるもの、キャッチオール規制については、対象外になる。
手続きは大分楽になる。
「非ホワイト国」の中には、台湾、中国、タイ、インド、シンガポールなどある。
「懸念国」とは、国内の政情が不安定で、特に戦争が勃発しそうな国々のことを指していて、北朝鮮、イラン、イラクが該当する。
「武器輸出禁止国」は、国連において武器に関する輸出が禁止されている国々で、アフガニスタン、コンゴ民主共和国、コートジボワール エリトリア、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン等々。

 さて、今中国は「非ホワイト国」だけど、「懸念国」に指定されるようになるかもしれないなあ。 このままの流れだと。
サイバー攻撃を仕掛けてくる国として。
さすがに国連の常任理事国だから、「武器輸出禁止国」には指定できないだろうけど。

 米中貿易戦争の一時関税アップ棚上げは、単なる準備期間に過ぎないな。
米国自身を含む世界各国が対応できる準備期間を設けたという感じかな。

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