米ドル支配の歴史(経勉)。

 国際決済銀行(BIS)が3年ごとに発表している外国為替市場全体の1日の平均取引量は約508兆円(1米ドル=100円の場合)。
ユーロ/米ドルは約117兆円、米ドル/円は約90兆円、英ポンド/米ドルは約47兆円で、全体の5割を占める取引量。
米ドルが絡む取引きは、全体の取引量の9割弱(87.6%)と圧倒的な取引量となっている。

 こういうことは、当たり前のことのように思っていたが、それには過去の歴史があった。

 米国と欧州の大国が主導して、第二次大戦末の1944年にブレトンウッズ体制を発足した。
金との交換が保証された米ドルを基軸として、アメリカのドルと各国の通貨の交換比率(為替相場)を一定に保つ仕組み。
金との交換は米ドルのみだった。
これが、世界経済での米国の優位性を支えてきた。
第二次世界大戦で、金を持っているのが、戦火を免れた米国のみという状況だったからしょうがなかった。

 しかし、その後、ベトナム戦争の出費などでドルを刷ったので、インフレが加速、経常赤字が増加し、アメリカからの金の流出も止まらず、米政府はドル発行総額の22%分しか金を保有していない状態になって、1971年8月15日、ニクソン大統領によってドルと金の交換停止を含む新経済政策が発表された。
その後、1973年には、主要各国は変動相場制へと移行した。

 これで、ドルが揺らいでもおかしくなかったのだが、米国は新たな手法を編み出した。
産油国から大量に原油を購入する見返りに決済をドルに限定し、産油国には稼いだドルで米国債や武器を買わせるスキームだ。
最大の産油国であったサウジアラビアが国防保証と引き換えに原油輸出代金をドル決済に限定するという契約を呑んだ。
そのため、他の産油国も追随、産油国は米国以外に対してもドル決済させたので、ドル支配が続いているということ。
なるほど、これは知らなかった。
確かにこれなら、ドル支配が続く訳だ。

 もっとも2008年のリーマンショックで量的緩和をして、米ドルを刷りまくったので、ベトナム戦争の時と同じことが起こっていると言えるかもしれない。
ブレトンウッズ体制の崩壊と同様なことが起こってもおかしくないのかもしれない。

 とは言っても、世界で一番信用できる通過なのは間違いないからなあ。
しかし、サウジも財政赤字に嵌りだしているから、変化が起こるかもしれない。
そうなったら、世界が大きく動き出すのかな。

 

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