アサヒビール大山崎山荘美術館で、「清宮質文展」を見てきた。
静謐で詩情に満ちた画風は高く評価される版画家。
関西ではじめて、その画業の全貌を紹介する展覧会で、版画と共に、ガラス絵の作品にも焦点をあてていた。
この美術館は初めて。
この版画家の版画を見るのも初めて。
ネットで見た版画「蝶」の静謐さに惹かれて、どんな版画家なのかな?と見に行った。 と同時に、どんな美術館なのかなと。
★「蝶」
とても静謐。 すべての作品に共通しているかな。
透明感もあるし。
★「九月の海辺」
少女の顔の前に魚が入れられたコップがある。
コップの中に閉じ込められた生き物の版画が幾つかあった。
この画家は、閉塞感を感じながら生きていたんだなあと感じさせられた。
★「窓辺の燭台」
ガラス絵。
このガラス絵は、とても透明感が出ている。
「野の果てに」という版画があった。
夕日の中、荒野に一つだけの車両がポツンとある。
とても寂しいけど、二番目に印象に残った。
「私の絵は、悲しむ人々と共にある。」という画家の言葉があった。
腑に落ちる。
そういう一種、暗い絵ばかりだ。
しかし、深い透明感があるから、救われる。
調べると、
芸大の卒業制作の絵が間に合わず、卒業が遅れた。
先に卒業していった同期は皆、すぐに戦争で徴収され、戦死…。
半年遅れで卒業、徴収されたが、戦地へ赴く前に、戦争は終わった。
という事情があったみたいだ。
戦争が絡んでるんだろうなと思っていたが、年譜の感じだと、戦地には行っていないみたいなんだなあ。
そういうことか。
一番いいなと思ったのは、
未完の「絶筆2」のガラス絵。
窓辺にコーヒーカップが置かれている。
薄いピンク色のカーテンが美しい。
とても透明感のある作品。
モネの睡蓮の大作があった。
モネの睡蓮は、かなり見ている。
じっと見ていると、睡蓮が水の上に浮かんでいるように見えてくる。
最後に、アサヒビール大山崎山荘美術館を紹介しておこう。
実業家・加賀正太郎が昭和時代初期に建物の他、庭園や道路、家具、調度品なども含めて自ら設計、デザインして建てた英国風の山荘で、それとは別に隣接して地下に作られた安藤忠雄設計の地中館と山手館からなる美術館。 アサヒビールの社長樋口廣太郎が知事の申し出に応じて企業メセナ活動として保存に協力、美術館になった。 アサヒビール初代社長の山本為三郎のコレクションが展示されている。
入り口が切通しのトンネル門になっている。 とてもセンスを感じる。
アルプスの山荘のよう。
美術館の入り口。
建物の部屋が展示室にもなっている。
2階の部屋のテラスから見た眺め。 白い塔がある。 加賀は、あの塔の上から見て、設計を指示したそうな。
安藤忠雄設計の山手館。
2階の東側の部屋が喫茶室になっていて、そのテラスからの真下に木津川・宇治川・桂川の三川が淀川へと合流する美しい風景を見ることができる。
後で、庭に出た。
安藤忠雄設計の地中館。 そこのガラス張りの回廊が見える。
中に入った時、とても印象的だった。
安藤お得意のざくっとしたコンクリート建築だな。
ガラス張りの回廊の隣には、水が流れている。
ここは、日本風。
この裏門も感じいい。
いい美術館だね。