「ターナー 風景の詩」  ~霞が描きたかったターナー~ *京都文化博物館

 京都文化博物館で 「ターナー 風景の詩」 を見てきた。

 スコットランド国立美術館群などイギリス各地と日本国内の美術館から選りすぐった油彩画、水彩画約70点や版画を展示する展覧会。

「第1章 地誌的風景画」
各地を紹介するようような絵画が描かれていた時代。 ターナーもそういう絵を描いていた。
浮世絵と同じ趣向かな。

★《ソマーヒル、トンブリッジ》

この絵がこの章では一番良かったかな。 牧歌的な風景。

「第2章 海景-海洋国家に生きて」
水の描写がイマイチ。 土みたいな個体感がある。

「第3章 イタリア-古代への憧れ」
イタリア旅行の時の絵。

★「キリスト教の黎明(エジプトへの逃避)」

水彩画や渋い色の絵の多い中で美しく輝いて見えた油絵。
鮮やかな青い空が垣間見える。 左手には夕空で、一体いつの情景なんだ?

★「遠景に山が見える川の風景」

 ターナーの画室に残っていた絵。
靄に覆われた川べりの風景。 岸辺に生える茶色の草木が霞んで見えて、後は靄のみ。
晩年のターナーのテーマ。
ターナーは、初期の頃から少し靄にかすむ風景画を描いていた。
明瞭な風景画はあまりない。
そういう風景が好きだったんだろうな。
空気感やもやを描きたかったのだろう。
草木さえ描かない靄のみのターナーの絵も見たことがある。
ターナーが本当に最後まで描き切りたかったのは、靄ということなのだろう。
霧の多いロンドンで生まれ育ったことが大きかったのかもしれない。
こういう絵を見ていると、ターナーの孤独や執念みたいなものを感じてしまう。

 展覧会全体としては、油絵が少なくて、物足りない感が強かった。

 2階で 京に響く彫鍛金の技 詩情溢れる生命の息吹「加藤宗巌・忠雄展」をやっていた。
加藤宗巌、忠雄の親子は鍛金、彫金の技法を用いて詩情溢れる生命の息吹きを表現した金工作家だそうだ。
思いがけず、素晴らしい作品があって、良かった。

★「子狐 装い」加藤宗巌

気品と美しさがある。
1899生まれの人だけど、モダンだ。

★「八稜花瓶」加藤忠雄

この人は、さらにモダン。
洗練されている。

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