浮世絵名品展 「北斎」  ~神戸市立博物館~

 ボストン美術館 浮世絵名品展 「北斎」 を神戸市立博物館に見に行った(2014/06/03)。
車で行く。 税関前の高架下の駐車場がこの辺りで一番安いよ。 ¥100/30分だから。
博物館から少し離れているけど。
 入場すると、広いスペースがあるのが、この博物館の特徴。
北斎 (640x480)
正面に、切り抜いて組み立てる組上絵が飾られていた。 勿論拡大コピー版だが。
こんなものまで作っているのが、北斎だなあ。 浮世絵にこんなのがあるのを初めて知った。
なんでもやってやろうというのが、北斎なんだなあ。
 さて、エレベータで3階に上がる。 人がずらーと絵の前に並んであまり進まない。
よくあるんだなあ、これが。 最初は、皆見る気満々だから、遅いんだよなあ。
しょうがない。 初期の絵で、大したこともないから、さあーっと後方から見ていく。
その内、見るものもなく、代表作の所まで来てしまった。
過去に「北斎」展なるものを、じっくり見ているので、驚くことはない。
 「富嶽三十六景」、やはり素晴らしい。 「凱風快晴」の鮮やかな美しさ、雄大さを感じさせる構図、これぞ富士という絵だ。 双璧をなす「山下白雨」は、今回なかった。
「駿州江尻」もいいねえ。 富士へ、はるかに続く道で、人々が一陣の風に煽られている。
さて、今回「富嶽三十六景」を見て感じたのは、近づいてよく見ると、江戸の人々の着物の柄が美しいのである。 くっきりと描かれていて、柄も色々あって、美しいなあと思った。
 「諸国瀧廻り」もなかなか。
北斎 (424x640)
これは、「木曾海道小野ノ瀑布」。 構図と色合いが美しさをたたえている。 滝の水の垂直すぎるデフォルメが、気に入らないが、右側の崖といい、丘といい、水の流れといい、斜めの線を有し、滝の水の垂直と、呼応している。 そして色合いがこの構図を優しく包んでいる。
 「百橋一覧」は、描き込まれた橋や山水に執念に似たものを感じる。
「滝に鯉」は、鯉の水の中への隠れ具合が丁度いい。
「百物語」は、その妖怪達の姿に、北斎の想像力の面木躍如という感じだね。
昔の展覧会でこういう絵をたくさん見たような気がするのだが、5図しかないらしい。
「朱鐘馗図」は、迫力あるねえ。
「柳に烏図」は、飛ぶ姿の連写というより、不気味さを強く感じるなあ。

 北斎の印象は、今回でも変わらなかった。
「富嶽三十六景」は、別格に美しい。
他の作品からは、エキセントリックさを強く感じるのだ。 曽我蕭白に似た、そこまでもいかないが。 「下野黒髪山きりふりの滝」にしても、どろどろと流れる水に奇異を感じる。
花鳥画シリーズの「芥子」にしても、美しくはない。 しかし、他の何かはある。
「富嶽三十六景」がなければ、好きになれなかったような気がする。
但し、まだ代表作「北斎漫画」を見たことないので、なんとも言えないが。

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