京都国立近代美術館で 「明治150年展 明治の日本画と工芸」 を見てきた。
明治時代に入ると、政府主導のもと殖産興業や輸出振興政策が推し進められ、明治6年のウィーン万国博覧会へ日本政府が正式に参加することで、日本の工芸品への関心が世界的に高まることとなった。これを受けて政府も国家戦略として工芸品の輸出に力を入れた。その近代化していく社会の中で生み出された明治の美術品を紹介する展覧会。
最初は、明治の京都の日本画のコーナー。
あまりいい絵はなかった。
さて、見どころは、明治期の工芸の超絶技巧の数々。
宮川香山の陶芸。
宮川香山の陶芸は、大阪市立東洋陶磁美術館で 「特別展 没後100年 宮川 香山」でたくさんの作品をじっくりと見たことがある。
並河靖之の七宝。
並河靖之の七宝も、伊丹市立美術館で 「並河靖之 七宝展」でじっくりと見たことがある。
ので、あまり感慨はない。
見たことがなかったのが、安藤緑山。
本物と見まごうばかりの象牙の彫り物。
「竹の子に梅牙彫置物」と「仏手柑牙彫置物」は逸品。
★「仏手柑牙彫置物」 安藤緑山
初めて知った人は、石川光明。
この人も象牙の彫り物だが、「羊牙彫置物」と「蓮根に蛙牙彫置物 」はその写実性が素晴らしかった。
この明治期の作家たちの超絶技巧作品の数々。
素晴らしい物もあるが、けばけばしい作品も多い。
輸出向けだからかな。
それに、その超絶技巧が、目指す表現の為に生まれたというより、ただ技術の為の技術という印象が否めなかった。
そこが、芸術家と見なされず、職人と見なされた原因だろう。
偏見だと思うが、実際の作品を見ると、そう言われてしまうのも、ある程度致し方ないのかなと思ってしまった。