秋野不矩の「紅裳」
京都市美術館に コレクション展・第4期・花から花へを見に行った(10/02/12)。
パンフの紅い服の女性達の絵に惹かれて。花から花へというタイトルだが、女性を花に見立てたりしていて、まああまり意味がない。
幸野楳嶺/森川會文の「花鳥昆虫図貼交屏風」、生き物が描かれた小品がたくさん屏風に貼られている。古風な味わいがあって、いい。浅井忠の「聖護院の庭」、腕のある画家は、こういうちょっとした写生でも雰囲気がある。冨田渓仙の「伝書鳩(下絵)」、鳩の様々な羽ばたく姿が簡潔に描かれていて、所々に塗られた空の青がアクセントになっていて、好きだなあ。横に本絵が置かれていたが、それはつまらない。さて、パンフの秋野不矩の「紅裳」、本展で一番魅力的な絵である。初め、こういう絵を描くのは、小倉遊亀かなあと思っていたら、秋野不矩とあったので、少し驚いた。秋野不矩といえば、昔回顧展でまとめて見たことがあり、インド滞在中の絵を見なれたせいか少し違和感があった。みると、30歳の作とあるので、若い頃はこういういい絵を描いていたのかと感心した。さて、絵であるが、五人の紅い着物を着た娘がテーブルを囲んでいる。その様が俯瞰で描かれている。手前の娘の着物ほど、紅い色が濃く、グラディエーションが付けられている。この絵は、見ていると段々楽しくなってくる絵である。美人の女の子は、手前に描かれているため、横顔である。一方、正面を向いている目立つ女の子は、?という顔である。もしかしたら後ろ向きの女の子が、一番美人なのかもしれない。そして、皆そっぽを向いているのである。つまらないわよね~という顔をしている。美しい絵であるが、案外底意地の悪い絵かもしれない。
見終えて部屋を出てくると、京都市立芸術大学の作品展をやっているのに気付き、見ていくことにした。いわゆる現代美術風の作品がならんでいたが、なんだか学園祭の延長というような感じでう~んという感じである。しかし、技術を必要とする作品には、いい物があった。螺鈿細工だったか、ひまわりをモチーフにしたやつが良かった。また、日本画のコーナーもなかなか良かった。斬新さという物を意識しなければ、いい絵もある。そこは、ほっとする。日本画の学生は、真面目だな~と感じた。一方、油絵のコーナーはひどかった。好き勝手やっているが、ちっともこちらに来る物がない。行き詰っているなあと感じた。この作品展で一番気に入ったのが、カーテン越しの情景を描いた版画である。記憶があいまいになってしまっているが、二人の少女が、レースのカーテンを少しめくっているような感じだったと思う。レースのカーテンに透けて見える情景が、情感を出している。2点ほどあったが、この学生は、いいモチーフに出会ったなあと思った。