「ピンクの服を着たキゼット」 《タデウシュ・ド・レンピッキの肖像》
「熊のぬいぐるみを持った少女」 「アンドレ・ジッド」
レンピッカ展を兵庫県立美術館で見た(10/06/05)。この前来た時、美術館のちょっと先に車を路駐していたら、駐禁を切られた。何十回と止めていて、今まで切られなかったのに、なぜ?と思ったが、後で調べたら、どうやら美術館の駐車料金が400円/2時間と下がったことと関係があるのでは、と推察する。この料金で、停めない車は容赦なく駐禁を切ってやれ、ということなのかな。それならそれでちゃんと知らせてくれたなら、\15,000も払わずに済んだのに。ということで、今回初めて、美術館の駐車場に車を停める。
レンピッカという画家は、知らなかった。ちょっとけばいデザイン的な絵で、興味はなかったのだが、よく見ると、面白いかもしれないと思って、見ることにした。結論としては、なかなか面白い展覧会だった。レンピッカの絵の特徴は、色のエキセントリックな濃淡、キュービックな画面構成、うねるような衣装の襞、ビルや意味のない色面による背景の自由な構成にある。最初に、「熊のぬいぐるみを持った少女」があった。これが気に入った。少女の足元が、左から紫、緑、黒の色面で塗られている。これがいい。才能を感じた。「アンドレ・ジッド」の肖像も、気難しそうなじいさんの顔を、あくの強い色面で描きだしている。そして、レンピッカの二つの傑作が並んでいた。「ピンクの服を着たキゼット」、足を少し体に引き寄せたポーズで、少女の体をぎゅっと画面に閉じ込めたような力感がある。挑発するようなまなざしや金髪、小麦色の肌、鮮やかな白のコスチューム、と一体母親としてどういう気持ちで描いたのだろうと想像したくなる。しかし、画家のまなざしで描いた絵で、見事である。別かれる前の夫を描いた《タデウシュ・ド・レンピッキの肖像》、一見、ファッション雑誌でポーズを取った男のモデルみたいだが、陳腐にならず、印象的である。近づいて見ると、黒い服の質感が良くて、そこに画面構成だけに頼らない画家の腕を感じる。これらの絵を30前に描いているのに驚く。才能であろう。その後、この二つの傑作からレベルの落ちた亜流の絵が続く。しかし、そこから画風を変えていく。そこが本物の画家だなと思う。しかし、ちょっといいなという絵はあっても、見事という絵には出会えなかった。