ルーヴル美術館展   京都市美術館

 ルーヴル美術館展を見に京都市美術館に行った(09/08/22)。11時頃に着いたが、混み具合はそれほどでもなく、10分ほど並んで中に入ることができた。17世紀絵画のみの展示であったが、見ごたえのある絵が少なからずあった。
 
ヨハネス・フェルメールの《レースを編む女》、最近のフェルメールの異常人気で、日本にフェルメールの作品が多く来ているので、過去に見たことがあるような気もする。それほどいいとは思わないのだが。隣のデル・マーソの「婦人の肖像」の方が、気にいった。黒の配色が美しい。ル・ナン兄弟の「農民の家族」、圧倒的リアリズムが眼に着く。それが、独特の物悲しさを醸し出している。作者不明の「法悦の聖フランチェスコ」、面長の聖人の顔立ち、そして絵の縦の流れが、グレコを思わせる。作者不明の「襲撃」、この絵がなかなか面白い。襲撃というタイトルで確かに夜盗が商人を襲っているのだが、小さく描かれ、主題は風景である。大木が2本、太古の昔のような葉を茂らせている。中世の奥深い森は、かくのごときだったのかなあと連想させる絵である。「王女マルガリータの肖像」、3歳のころのかわいい肖像、きちきちのドレスでおなかがきゅうきゅうになっているのが印象的である。ヤン・ブリューゲル(父)の「火」、かなりいい。初め父であるピーター・ブリューゲルの絵の写しかとも思ったが、そこまでは良くないようだ。手前に金属の器や鎧が所狭しと雑然と置かれている。うまいが、ピーター・ブリューゲルなら、さらに美しいと感じさせてくれる。夜の闇の中に、鍛冶場がほの明るく浮かぶ様が神秘的である。そして、本展一番の傑作、ジョルジュ・ラトゥールの「大工ヨセフ」、老人の強い魂を感じさせる顔と少女の真摯な顔がひとつのロウソクに照らし出されている、大切な物がここにすべて凝縮されているかのように感じさせるこの世界、本当に素晴らしい。ジョルジュ・ラトゥールの絵は、2005年の国立西洋美術館のラトゥール展で見た。その素晴らしい絵の数々に驚いたものである。ムリーリョの「無原罪の聖母」、ムリーリョらしい世界である。そして、フランス・フランケン(子)の「キリストの受難」、キリストの磔の場面とその周囲にいろいろな場面が配置されている。褐色の美しさと迫真の描写力に魅了される。

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 作者不明の「襲撃」  ヤン・ブリューゲル(父)の「火」

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ムリーリョの「無原罪の聖母」

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