モディリアーニ展   兵庫県立美術館  08/08/23

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  モディリアーニ展を見に国立国際美術館に行った。世界的な大回顧展という歌い文句だが、それほどでもなかった。35歳という若死にだからしょうがないかもしれないが。最近は、良く知られるようになったが、モディリアーニは、もともと彫刻家だった。それが肺を悪くして、体力の要らない画家に転向せざろうえなかった。それを抜きにしてモディリアーニは語れないというのが、今展でよくわかった。カリアティッドと題された一連の絵が展示されている。カリアティッドとは、建物の梁を支える人型の柱である。モディリアーニは、ギリシャに代表されるカリアティッドに魅せられ、その彫刻を作っていた。そして、その習作として、デッサンや絵を描いていた。その絵が、その後のモディリアーニの肖像画の原点となっているのは、明らかだった。モディリアーニ特有の細長い首や顔は、カリアティッドの絵に見られるのだ。

 パリ到着後の絵とデッサンの数々、良くない。デッサンは下手だし、というかデザインの練習帳のように見え、見るに値しない。次は、カリアティッドのコーナー。最初の、愛知県美のカリアティッド、これが素晴らしい。アフリカの原始的なスタイルとギリシャの優美なスタイルが融合したような味わいを持つ。こらは、写真のNY蔵のカリアティッドよりいいと思う。NY蔵は、少し胴が細すぎる。この一連のカリアティッドの面白さとは、建物の梁を支えるという条件に縛られた状態で、人体の面白いポーズや形を探求しているところにあると思う。人は、野放図に考えるよりも、ある制約下で考えた方が、かえって自由な発想が得られるといういい例だと思う。「大きな赤い胸像」もいい。過渡期の肖像画の時期を経て、「若い娘の肖像(ルイーズ)」(写真)に出会う。モディリアーニの誕生だ。

実にいい色合いだ。デザインの面白さというより、色合いが素晴らしい絵である。いい絵が何点か続くが、「C.D.夫人」あたりから色がくっきりして良くない絵が続く。そしてまた良くなる。色々と模索しているのだろう。「マリー・ローランサンの肖像」、「ルニア・チェホフスカの肖像」、「珊瑚の首飾りの女」、「少女の肖像ユゲット」、「赤毛の若い娘」(写真)が良かった。

 モディリアーニの特徴といえば、細長い首とともに瞳のない眼である。並んでいる絵には、瞳があったりなかったりした。瞳がないのは、彫刻の影響であろうが、その是非や意味しているところは、よくわからないなと思った。「珊瑚の首飾りの女」は、非常に力強い眼が印象的である。この絵が教訓となり、瞳が絵の中で目立ちすぎるのを避けているのかもしれない。展覧会全体としては、いい絵が少なかったような気がする。

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