さて、白山登山二日目だ。室堂の山小屋に泊まったのだが、周囲の物音で、4:30頃には目が覚める羽目となった。頂上で日の出を拝もうとする人がいるようだ。どうしようか迷う。暗がりでの景色、朝飯の時間、寒さを考えて、やはり軟弱に日の出は、室堂で見ることにした。東の空が、段々と紅くなってくる。雲上に御嶽山の姿がはっきりと見える。そして乗鞍岳の裾から朝日が顔を出したと思ったら、あっという間に登って、明るくなった。本当にあっという間で、シャッターチャンスを逃してしまった。乗鞍岳の裾からの日の出が見れるなんて、なんという幸運なのであろう。もっとも山の名前は、後から調べてわかったのだが。
朝焼けの景色を十分楽しんだ後、朝飯、そして弁当、茶をもらって、7:30頃出発した。歩きやすい石段を登るのだが、なんだかしんどい。250mを登ると、背中が汗だくになっていた。周りを見ると、まともにリュックを担いでいるのは、俺だけだ。室堂に荷物を置いていくのを完全に忘れていた。さて、素晴らしい天気で、頂上からの景色は最高だった。北アルプスの山々や乗鞍岳、御嶽山等々が、雲海に浮かんでいた。近くのおっさんが、槍はどこから見てもすぐわかるよなあと言っている。聞き耳を立てていると、あの尖っているのが槍ヶ岳らしい。あまりたくさん山が見えてもどうしようもないが、名前がわかると感情移入できて良い。俺も山の同定ができるよう、訓練しなくては。
30分近く景色を楽しんだ後、お池めぐりに山を降りる。大汝峰、剣ヶ峰、紺屋ヶ池と植物のあまりない荒涼とした景色だ。それはまたはそれで味わいがある。池自体は、小さくそれほど美しくもないが、池を巡って、景色が変わっていくのが良い。千蛇ヶ池で、雪渓が見れた。ここには、雪で大蛇が封じ込められており、万年雪が溶けることがあると、後ろの山の岩が落ちてくるという伝説があるそうだ。千蛇ヶ池の脇を通り、室堂に帰ることにする。下りは、歩きにくい岩の多い道だった。この頃から空模様がおかしくなりだし、弥陀ヶ原を歩く頃には、小雪が降り出した。山の天気は変わりやすい。
黒ボコ岩の分岐で、観光新道に入った。なだらかな尾根道が続く実に見晴らしの良いコースだ。これから下る尾根道、別当谷、別山、白山釈迦岳が見渡せ、実に気持ちが良い。谷の向こうに見える南竜ヶ馬場の草原も美しい。殿ガ池避難小屋を過ぎ、尾根道のピークで昼飯にした。ちらしずしを棒状にしたようなものだった。仙人窟やピークを越えると、やがて尾根を離れる急坂になった。この下りはきつそうだと心配していたが、丁度工事をしていて、水でぬかるんでおり、急な上に歩きにくく、かなり疲れた。2時頃、やっと別当出会に着いた。標高差1450mの山歩きだった。そして展望の湯で一風呂浴びてから帰った。今年のベスト登山であった。
写真は、室堂から見た日の出直後の御嶽山。