トーナメントの熱戦を見ている内にさらに盛り上がってきた中、いよいよ待ちに待った、日本のベスト8を賭けた戦いべルギー戦が行われた。 気温25℃、ベストコンディションだ。
最初の20分くらい、日本は攻勢に出る。
前線からプレスをかけ、ボールを奪って、攻める。
しかし、決定機までは作れない。
そして、20分過ぎくらいから、ベルギーが攻撃の圧力を高めて来て、日本は押し込まれる。
ルカクが決定機を逃してくれて、助かる。
CKの圧力も凄くて、いつ点を取られるかヒヤヒヤものだった。
何とか、前半は耐えてくれと見ていたが、何とか耐えてくれた。
後半、どういう指示が出たのか、また日本がアグレッシブに動く。
後半3分、柴崎が、中央から右にスルーパスを送る。 ぎりぎりのボールでベルトンゲンが少し触るが裏に抜けて、駆け上がった原口に渡る。 原口が内に切り込もうとして止めて、シュートを放つ。これがゴール左隅に突き刺さった。
見ていて、思わず、両手をつきだしたよ。 原口に待望のゴール。
得意の左サイドではなく、右サイドでの今までの奮闘が報われた瞬間だった。 これは嬉しかったなあ。
今までは、内に切れ込んで無理やりシュートを打つことが多かったが、割り切って縦に抜けてくれと書いたこともあるのだが、そうしてくれた。 そして、今回は幸いなことにシュートを打つ角度が残っていた。 内に切れ込みかけたのも、いいフェエイントになった。 おそらく内に切れ込む映像ばかりをべルギーDFは見ていただろうからねえ。
レッズで、ごりごりのドリブルを仕掛けてきて、嫌いだったのだが、日本代表での奮闘ぶりを見ていて好きになった。
正直一番応援していたかもしれない。 そういう気にさせるプレーぶりなんだよなあ。
この喜びも束の間、後半7分、乾がゴール前にに浮き球を送るもはね返されるも、香川が拾ってタメを作ってから乾にパス。乾はペナルティエリア手前の中央から右足を一せん。無回転で飛んだ強烈なシュートが、名手クルトワの届かないゴール右隅に突き刺さった。 凄いシュートだった。
これでべルギーは反撃しようとしたが、日本は前からのプレスを止めなかった。
これが良かったと思う。 べルギーDFは、前にいいボールを出せず、回すことしかできない雰囲気になって来た。
しかし、スペイン人のマルティネス監督が動く。
後半20分、メルテンス⇒フェライニ、カラスコ⇒シャドリ交代した。
この交代が効いた。
フェライニは、194センチの長身MFで、高さでもろに圧力をかけられてしまった。
カラスコは、酒井宏樹が完全に抑え込み、またもや対面のドリブラーを交替に追いやったと思ったんだが、このシャドリがスピードあるいいドリブラーだった。 シャドリは滅茶滅茶フレッシュなのに、酒井は連戦の疲れの蓄積に蝕まれていた。
今まで完璧に近かった酒井が何度かドリブル突破されて、ピンチを招いた。
後半24分、ルカクのシュートを吉田が素晴らしいブロック、そのクリアボールがゴール前左に飛んでしまい、ベルトンゲンがヘディング。 多分、中に折り返そうとしたんだと思うが、高く上がったボールはゴールの右隅に吸い込まれてしまった。 ラッキーゴール。 これが痛かった。 ラッキーだっただけに、べルギーはイケルぞと勢いづいた。
さらに、後半29分、アザールが左サイドの深くからクロス、フェライニが長谷部と吉田に挟まれながらもゴール前で高い打点からヘディングシュートを決めてみせた。
後半36分、西野監督がやっと動く。
柴崎⇒山口、原口⇒本田に交替。
そして、後半48分、中央ゴールから少し離れた位置で、FK。
中央なので、味方に合わせるのは苦しい。 狙えと見ていたんだが、本田が直接狙う。 無回転シュートが枠の左をとらえたが、クルトワにセーブされてしまった。 もう少し、高い位置に飛んでいたら、決まっていたかもしれないという惜しいシュートだった。 残念ながら、今日は持っていなかった。
そして、後半49分、日本のCKで本田がGKの守備範囲内にボールを上げてしまう。 これをキャッチしたクルトワが、素早くデブライネにつないで、カウンターを開始。 デブライネがドリブルで長い距離を持ち上がり、右に展開、ムニエがグラウンダーのクロスを送る。これをルカクがスルーすると、シャドリがフリーで流し込んだ。
延長かと思っていたんだが、本田のミスでやられてしまった。
ファビオ・カペッロが、「もし、私が日本の監督ならホンダの首根っこを掴んで怒鳴っているところだ。94分を迎え、延長戦が見えてきたところで、単純なボールを蹴ってGKに取られるなんてありえない。あれでチームは逆襲を浴びて負けたんだ。」とコメントしている記事を読んだよ。 自分もそう思った。
このまま、試合終了。
日本は全員が倒れ込んでしまった。 それだけ、全力を使い果たした試合だった。
後半2点リードしただけに、勝てる可能性がある試合だった。
もう少し、残り時間が少なければ良かったんだが。
ルカクが決定機を2度ほど外してくれていたし、アザールのポストに当たるシュートもあった。
日本に運もあるように思えたが、1失点目のゴールが不運だった。
西野監督が後半20分のべルギーのメンバー交代に対応して、動けていれば良かったんだが、日本もうまくカウンター出来ていたので、動くに動けない面もあった。 今まで采配が当たっていただけに、西野監督は何とかひらめかななかったのかな?
試合を振り返って見て、先発選手全員がベストのプレーをしてくれたと思う。
香川も良かった。 乾が一番凄かったけどね。
それにしても、こんだけ熱くなった試合は久し振りだ。
見ていて、面白かったし、見終えて充実感もあった。
選手たちや監督・スタッフには、いい戦いを見せてくれて、ありがとうと言いたいよ。
結果が出せなかったと言えば、そうなのだが、実力で、攻撃力でべルギーがかなり上回っていたのは、明らか。
サッカーでは、それでも勝てる試合がある。
そうできなかったのを、攻めてもしょうがない。
日本は、実力で上回る王道を行くべきだ。
それが、出来る可能性があると思える試合だった。
ブラジルWC後の失望とは、全然違う。 未来が開ける試合だったよ。